第五章 Over World
全部なくなったわけじゃない
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行く。
悩み事は、頭からなくなっていた。
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その状況を、暁美ほむらは見ていた。
状況や展開は違えど、美樹さやかが魔法少女になったということは、ほむらにとって一つの運命か決定づけられたようなものだ。
そして案の定、どういう状況でそうなったのかわからないが、美樹さやかが家から飛び出してきた。
普通じゃない状態であるのは、見て容易だった。
彼女はあてもなく走ってるようだったか、ほむらから見れば行く場所は大体わかる。
「まどかに伝えるわけにはいかない・・・けど・・・・」
ほむらは懐から、緑色のカンドロイドを取り出した。
それを変形させ、通信機能を起動させる。
「――――ちょっといいかしら。鉄さんもそこにいる?」
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そしてさらにその状況を、さやかの部屋にいるキュゥべえは観測していた。
ほむらは何処かに連絡を取っているようだが、おそらくあの二人なのだろう。
だが、まどかは呼ばない。
彼女の行動パターンからして、まどかをこういうことに近づけようとしないのは解っている。
しかし、キャストは多い方がいい。
「ああなった」さやかを救うため、まどかに契約させることも可能かもしれないのだ。
そうして、キュゥべえの姿がそこから消える。
気付けば、その白い影は外にいた。
走り出したそれは、まどかの家に向かいながらテレパシーを飛ばした。
『まどか、ちょっといいかい?』
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時計の針は、深夜を回ろうとしている。
そんな時間に、二人の少女が歩道橋の上にいた。
途中途中に広場のように面積がとられているもので、菱形のそこに二人は立っていた。
さやかは靴も履かず、寝巻きのままだ。
寒そうに片腕を抱え、息を切らして立ち止まっている。
その後を、杏子が追って到着した。
手の持っていた紙袋はなく、一回だけ呼吸を深くとって息を整える。
「おい・・・いったいどうしたんだ?」
「・・・あぁ・・・あんただったの・・・・」
振り返るさやか。
目の周りは真っ赤。
今にもくしゃくしゃになりそうなのに、必死になってそれを隠すものだから、まるで無表情でいるかのよう。
そして、その目は虚ろに、夜の闇に溶けている。
「どうしたんだ?・・・・」
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