第五章 Over World
私、ずっと見てきたもん
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その日、話は唐突に始まった。
「私、恭介さんのことお慕いしてましたの」
「え?」
開口一番、そう言われた。
相手はまどか、さやか共通の親友である志筑仁美。
放課後に話があると言われ、二人きりがいいとのことなので、いつものカフェに入った。
そして、間髪いれずに本題に入ってきたのだった。
「お、お慕いって・・・好きってこと?」
「ええ」
「あ、あはは!!あいつも隅に置けないねぇ・・・・」
「お二人は幼馴染なんですよね?」
「まあ・・・・腐れ縁っていうか・・・」
私は必死に、本心から目をそらす。
だけど仁美は、それを糾弾するかのように話を進めていく。
「本当にそれだけですか?」
「え、えっと・・・私は」
「本当の気持ち、ありますよね?」
「・・・・・」
意識したことなんてなかった。
一緒にいるだけで楽しかったし、十分だったから、好きだとかそういう感情が分からない。
昔から一緒だった奴だし、苦しそうだったから、辛そうだったからお見舞いもしたし、励ましもした。
でも、こう言われると自信がない。
私は、恭介のことが好きなのか。
それとも、、昔からの間柄、単なる友情なのか。
そう考え始めると、次第に心苦しくなってきた。
「それが恋だよ」なんていう苦しさじゃない。
答えがわからない。道筋も出ない。
身体中を縛られるような、身動きの取れない息苦しさだ。
首から下が、まったく別の物質になったようだった。
そうして悩ませている私を見て、今は答えが出ないのと納得したのだろう。
仁美は立ち上がって、言葉を懸けてきた。
「急な話ですみませんでした。でも、さやかさんは私の大切なお友達。だから、抜け駆けはしたくなかったんです」
「・・・・・」
「私、明日の放課後に告白するつもりです。それまでに、決めてください。告白するか、どうかを」
そう言って仁美は店から出て行った。
残されたのは、私一人で。
その私はというと、一言も返すこともできず。
その役目を持っていた口は、その機能を忘れたかのように開いたままで静止していた。
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「で、それで俺たちが唖然としていたさやかちゃんを見つけて、今に至ると」
「ど、どどどどうしようまどかぁ、翼刀さぁ〜ん!!!」
「「どうしようと言われても・・・・・」」
その数分後、さっきまで仁美が座っていた席には翼刀とまどかが座っていた。
パトロールで偶
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