第五章 Over World
私、ずっと見てきたもん
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てるんだってば」
「「他人の為」が「自分のため」だってのか?あんた聖職者になったつもりかい?」
「そんな。俺は自分の手が届く範囲しか助けられないもん。聖職者じゃないよ」
家族のことは除いて、そう言うことは映司にも言ったことがある。
が、毎回映司はこうして返してくるのだ。
そう言われては、杏子もそう簡単に返せない。
それが彼自身のため、と言われてしまっているのだから。
「俺は俺がやりたいことをやってるだけだよ」
「チッ、やっぱあんた気にくわねー」
そう言って、杏子が電柱から降りてきて先に進んでしまう。
その後を、映司が追う。
なんだかんだで、杏子と言う少女はほっとけないのであった。
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一方、病院のリハビリ室に乗り込んでいったさやか。
恭介は平均棒を腕でつかみ、支えにしながら歩く練習をしていた。
と、いっても歩く練習がメインではない。
身体を腕で支えることで、回復した腕の調子を見ているのだ。
一応、何事も消極的で、寝たきりだったので歩くのも練習しているというのはあるが。
「恭介!!」
「あ、さやか」
その恭介に、さやかが声をかける。
リハビリ室の扉からは、翼刀とまどかが覗き込んで見守っていた。
「見てさやか!もうこんなに動くようになったんだよ!!」
「うわ、すご・・・これならすぐにバイオリン出来そうじゃん!!」
「いや、まだそこまで細かい作業は出来ないよ。でも、このままいけば大丈夫だろうって先生が」
「ホント!?やったぁ、恭介!!」
話しかけたはいいが、早速本題から話が逸れる。
とはいえ、これもさやかの偽らざる気持ちだ。
恭介の肩をバシバシ叩きながら、元気づけていくさやか。
つい一週間前までは、ベッドの中の細くて弱々しかった身体だというのに、もうここまで回復した。
本当に良かったと笑い合う。
「これも、さやかがあの人を紹介してくれたからだよ!!」
「あの人?あ、翼刀さん?」
「うん・・・・僕は入院中、さやかに迷惑ばかりかけていたのに、それでもさやかは僕のもとに来てくれた。一番たくさん来てくれた。そして、僕の未来をくれたんだ」
「そ、そんな大げさな」
「大げさなんかじゃないよ!」
ギュッ!と、恭介の手が、さやかの手を握りしめる。
その動作にカァッ、と顔が赤くなるさやかだが、恭介はお構いなしに感謝の言葉を述べる。
「さやかは僕に希望をくれた。未来をくれたんだ。さやかは僕の命の恩人だよ」
「未来を・・
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