第五章 Over World
それで十分、助けられちゃた
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左右に飛べば、どちらかを抉り取られる。
後退するには距離を詰めすぎた。
ならば、退路は前しかないだろう。
「ダオァッッ!!」
脚により力を入れ、魔女の大きな口に向かって飛び込んでいく翼刀。
ヘタに力を抜くと、あの歯に引っ掛かって咀嚼されてしまう。
ならば、飛び込む力は全力で。
チャンスは一瞬。
生き残る道はただ一つ。
歯に触れられる前に口内に飛び込み、その向こう側に向かって刃を射出――――!!
ズッ――――ドドドドドドンッッ!!
バチュゥッッ!!
肉(と言っていいのか)が爆ぜる音がして、翼刀が魔女の背中から飛び出してきた。
何かの液体が身体にこびりつくが、それはすぐに乾いて消滅していった。
ドドォ―――と地面を揺らして落ちる魔女の巨体。
こんなものがあの小さな体に入っているとは思わないだろう。
その瞳は白目をむいており、見るからに絶命状態だ。
だが
ズロォッッ!!!
「なにッ!?」
確かに死んでいたその魔女の口内から、新たな個体が飛び出してきたのだ。
体内に溜めた肉体のストック。
今ある肉体が損壊、敗北したとしても、新たな肉体が飛び出してくる。
そう、それはまるで
「蛇かこいつはッ!!」
準備運動と言わんばかりにガチィ!!と上下の歯がきれいにかみ合わされ、そして開かれた口が翼刀に向かって突っ込んできた。
両手両足を使ってそれを阻み、しかし口に捉われてしまう翼刀。
脚はともかく、歯が食い込んで手の平がグジグジと血をにじませ始めた。
「キャぁあああああ!!」
「うォォォおお!?」
魔女の口の中で食われまいとして踏ん張る翼刀。
顎の力を入れても閉じられないことに憤ったのか、魔女は抗議の声を上げた。
ブンブンと頭を振り、一直線に壁に向かって突っ込んでいったのだ。
このままだと押し込まれる。
そうわかってはいた翼刀だが、この状況から脱するには少しばかし無茶をすることになる。
歯に噛まれぬよう口内に飛び込み
身体を舌に絡め取られる前に、落としたヴァルクヴェインを手元に再出現させ
嚥下されるより早く刃を射出して体外に飛び出すのだ
(できるのか!?それ!!)
無論、不可能ではあるまい。
だが突破した後、この魔女と戦えるかどうかは保証しきれない。
(昔読んだ漫画にあったな。1、仲間が来る 2、いい考えを思い浮かべる。んで3は―――!!)
翼刀の思考は回る回る。
だが、時間は確実に経過する。
それは壁の接近を意味しており
(誰も来ない――
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