第五章 Over World
それで十分、助けられちゃた
[1/9]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
時間は少し戻って
「使い魔も魔女も大したことはなさそう・・・・手早く終わらせちまおっと」
結界内に入り、難無く魔女の間へと到達した翼刀は、全く臆すことなくその扉を開いた。
先にいたのは、見上げるほどの長い椅子を持った椅子。その上に、まるで姫であるかのように座るぬいぐるみのような魔女であった。
お菓子の魔女・シャルロッテ
周囲を使い魔が走り回り、お菓子をかき集めては彼女に貢ぐ。
全く脅威を感じないその佇まいに、翼刀も肩を落として剣を取り出す。
無害そうに見えたところで、やはりそこは魔女なのだ。
周囲を巻き込もうとする嫌な感じが、この結界からはする。
招いた招待客にお菓子を上げる、というそんな優しい相手ではないのだろう。
しかも
ザッ――――
ギョロッ!!!
一歩、翼刀が魔女に向かって近づくと使い魔はこちらを一斉に見てきた。
敵意を向けている。
それでも作業をやめないのはまだ警戒範囲内だからだろう。
更に進めば、撃退範囲に入り襲い掛かってくるに違いない。
だが
「ここから先?じゃあ行かねぇよ」
ズドドドドドドドォッッ!!!
剣の一振るいで刃幕を飛ばし、使い魔を殲滅する。
そしてその刃は魔女の座る椅子の足にも命中し、当然ながらバランスを崩して魔女は落下してくる。
「シっっ!!」
落下してくる魔女に向けて、刃を一本飛ばす翼刀。
それが胴体に突き刺さり、壁にまて吹き飛ばされる魔女。
標本のように串刺しになり、壁がもたなかったのだろう。刃がガラリと抜け、落下してくる。
その落下してくる魔女に向かって、翼刀が疾走した。
(首を狙う。一発で刎ね飛ばして、それでこいつも終いだ)
そうして魔女と翼刀が接近し、タイミングを合わせて腕に力を込めると
「行く・・・・ッ!?」
グバッ!ゴォッ!!!
―――ぞ、というべきだった言葉は途切れた。
小さなぬいぐるみのようなその口から、パペットのような黒い別の化け物が出てきたのだ。
翼刀は理解する。
あの無害そうな姿は擬態だったのだと。
そうして油断させたところで、絶好のタイミングを見計らって本体が標的に食らいつく――――!!
「グゥおっ!?」
こっちから接近し、その首を撥ねようとタイミングを合わせていたのに、向こうからの更なる急接近にそれを崩された。
こっちはこれから振り抜く体勢なのに、向こうはもう自分に食らいつこうと刃が並んだ顎を開いている!!
だから、翼刀は下手な回避は取らなかった。
下に躱せば、首が食われる。
上に飛べば、脚を失う。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ