第二十八話
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…何してるんだ?お前。」
だいたい〇七〇〇位だろうか、最初の客である木曾と悠人が入ってきた。やはり走る約束をしていたらしい。悠人は完全に疲れきって、引きずられながらの登場だ。
「いやぁ、流れでさ。」
俺は、帽子を三角巾に替えて、カウンターの中で間宮さんと羽黒さんとで飯の準備をしている。
あれから、そこそこのスピードでゆで卵を剥き終わった所で、なんか楽しくなってきてしまった。そこに羽黒さんも来ちゃったから、本当に流れで本気で手伝い始めちゃった。
「なんか春雨も寝てるし………。」
春雨はあれからずっとカウンター席で寝ていた。寝顔はしっかりこの目に焼き付けておいた。
「あー、隣の部屋がうるさくって寝れなかったらしい。そっとしといてやってくれ。」
俺は味噌汁の鍋の火加減を調節していた。うむ、なかなかいい感じだ。
「ふぅん、まぁいいや。とりあえず、いつもの頼むわ。こいつにもな。」
木曾はそう言うと、悠人を引きずって机に向かっていった。
さてと、木曾が毎朝食ってんのは、朝定食だったな。
俺はまず目の前の味噌汁をお椀に注ぐ。こんな大きな鍋から注ぐのは中学の時の給食以来だな、と思った。
注ぎ終ると、間宮さんが鮭の切り身と白飯、漬物を乗せたお盆を二つ俺の手もとに置いてきた。後はこれにゆで卵と海苔を付けて…………。
「おまたせー、朝定食二つー。」
「お、流石に一人増えると速いな。」
木曾はカウンター席で座っていて、春雨の寝顔をニヤニヤ見ながら待っていた。いつもより速いらしく、少し驚いていた。
「二つ持てるか?」
「余裕だ。ありがとな。」
木曾はそう言うと、お盆を二つ持って、悠人が座っている席に歩いていった。
さて、これを後提督込みで五十六回か。
…………バイトとか始めたらこんな感じなんだろうか、と思いながら、俺は再び味噌汁の鍋の蓋を開けた。
―図書館―
「お疲れ様でした。大変だったでしょう?」
あの後、次々と来る客に軽く翻弄されたり笑われたり感心されたりしながら、〇八〇〇頃には仕事を終えた。間宮さんからお礼に、『間宮あいす引換券』なるものと、羽黒さんから、『伊良湖最中引換券』なるものを貰った。いつかこっそり使ってみよう。
そんで今、俺は何とか眠気から回復した春雨と図書館でドイツ語の勉強を始めていた。あの日から、毎日のように午前中にやっている。
「おう、ありがとうな。本当にあの二人には頭が上がらないわ。」
間宮さんと羽黒さんは、「お陰でいつもよりだいぶ楽ができた。」とお礼を言われた。たまに手伝いに入ろうかな。
「そう言えば、結局ふ……じゃね
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