第二十八話
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―自室―
「………あんにゃろう。」
俺がいつも通りの時間に目を覚ますと、ベッドで寝ていたはずの悠人の姿が無かった。
最初はトイレでも行ってんのかな、と思ったが、ちゃぶ台の上に置き手紙が置いてあった。
『走ってくる。』
これだけ書かれていた。恐らくだが、昨日の内に木曾辺りと約束でもしたのだろう。相変わらず人との距離を詰めるのが上手い奴だ。
さて、それとは裏腹に人との付き合い方が論外レベルの俺はというと、走りに行って悠人と鉢合わせになったらめんどくさいな、と思ったわけだ。
「つまるところ、食堂辺りにでも行って暇潰しでもしようかってことだ。」
誰に解説するわけでもなく、そう呟いた。
俺は悠人の置き手紙をごみ箱に捨てて、そのままクローゼットの前へ。
いつものセーラー服と半ズボン、帽子は迷ったが、今日は被って行こうかな。
「…………。」
そして、毎日のように悩むこれ。
眼帯だ。
「どーすっかなー…………木曾とのペアルックとか、木曾も嫌だろうし、第一、片目見えなくするとか、どんな苦行だよ。」
いや、木曾のことだから、「いいじゃねえかペアルック。オレとお前の仲だろ?」とか、「そうこなくっちゃな。こーゆーのもいいねぇ。」とか言いそうだ、というか言うな、まず間違いなく。
俺は眼帯をクローゼットの中に仕舞った。いつか着けることがあるのだろうか。
よし、準備完了。軽巡 木曾 二号艦 出発だ。
―食堂―
「とは言ったものの、流石に誰も居ねぇかな………。」
俺は二階に降りてきて、食堂に向かって歩いていた。
まぁ、間宮さん辺りと話でもするかな……今考えると、あの人すげぇよな。五、六十人は居ようかって数の艦娘の食事管理してるんだから。
そりゃあ羽黒さんも手伝いたくなるわけだ。
そんなことを考えていたら、目の前に食堂への入り口が。
「うぃーす………あれ?」
中に入ると、そこにはやはり間宮さんがいた。
そして、カウンター席に突っ伏している奴が一人。
「何やってんだ?春雨。」
いつものサイドテールに白い帽子。確かに春雨だ。
確か前に春雨と同室である時雨が、春雨はあまり朝に強くないとか言ってたのにな……珍しいこともあるもんだ。
「あ、二号さん……おはようございます………ふぁあ………。」
顔を上げてこちらを見てきたが、若干やつれていて、かなり眠そうだ。
「どうした、寝不足か?」
「はい………隣の部屋がうるさくって、一睡もしてないんですよ…………ふぁあ。」
どうやら一睡もしていないと言うのは本当らしい。かなり参っているよ
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