第五章 Over World
二人だったら、心強い
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らして、ココアのようだ。
「うち、実家道場でさ。大会前とか模擬試合前とかになるとガッチガチに緊張する奴とか出てくるわけよ。そん時作ってやんのがこれなわけ」
そう言いながら窓を開け、ベランダに出てズ、と自分のをすする翼刀。
「道場内でも一、二を争うくらいに元気っ子なのにプレッシャーに弱くて、さらにそんな実力もないのに勝つんだ勝つんだって息巻いて余計硬くなるんだ、そいつ」
はは、と笑いながらマミに語る翼刀。
マミも一口付けてみると、甘い味が一気に口内に広がった。
「翼刀さんって、ブラックコーヒーとかが大好きな人だと思いました」
「ん?ブラックとかダメだよ。砂糖にミルクに蜂蜜とか入れないと飲めないぜ?」
「甘党なんですね」
「そうなんだよなぁ。似合わない、ってよく言われる」
「・・・・さっきの話の人」
「ん?」
「その人ですか?さらわれたのって」
「・・・そだよ」
話し方から大体わかった。
さみしげだけど、また会ってみせるという凄味があったから。
「俺は綺堂唯子を必ず取り戻す。そのために、ワルプルギスの夜だってブチのめす」
「できるん・・・ですか?」
「・・・・出来る出来ないに関係なく、って言いたいけど、その時は仲間の力を借りることになるね」
「仲間・・・・」
「でも今一番頼れるひとたちは傷ついて動けない。だから」
そう言ってコン、と手すりにマグカップを置いて、巴マミに手を差し出す翼刀。
「それまで、というか、もしそうなっても、俺と一緒に戦ってくれるか?マミちゃん」
「翼刀さん・・・・」
「俺だって一人のつもりだったんだ。二人だったら、心強い。それにそっちの方が魔女との戦闘経験は多いんだろ?」
「わかり・・・ました」
「じゃあ、お願いな!!」
そういって、手を打ち合う二人。
ここに同盟は成立する。
じゃあオレは帰るわ、と翼刀がマグカップを置いて部屋を出る。
と、玄関先にマミがやってきて見送りに来た。
「翼刀さん、ありがとうございます」
「ん?」
「私、不安だったんです。一人で戦うのが・・・」
「あー、一人で戦うのは気楽だけどきっついからなぁ。ま、がんばって行こうぜ」
そうして、靴をはいて立ち上がる翼刀。
その背中に、マミが一言言った。
「翼刀さん」
「なに」
「これ、甘すぎですよ」
「マジか」
マミの言葉にショック!という顔をして、自室に戻った翼刀。
この日、巴マミは何年ぶりかの安眠を取ることができた。
鉄翼刀は決意する。
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