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世界をめぐる、銀白の翼
第五章 Over World
影少女
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影少女。
その影少女を叩き落として、着地した翼刀が向かおうと再び跳躍しようとする。

だが


「な・・・・」


目の前の光景は、それを一瞬止めさせた。


飛び出していった蒔風とショウの眼前に、黒い穴が開いたのだ。
唯子を取り込んだ球体もその中に入って行き、当然二人も後を追っていく。


そして、穴が一瞬で閉じた。



「そんな・・・・」

「舜君!!!」



穴が閉じ、追って行けないことに翼刀が膝を付き、なのはが蒔風の名前を叫ぶ。


と、その翼刀の背後でキャハハハ、と笑って立ち上がる影少女。



「だから・・・テメェは・・・・」

「キキッッ!!」

「笑ってんじゃ・・・ね・・・え・・・?」



その癪に障る笑い声に、翼刀が剣を振りあげて振り返った。

そのまま振り下ろして、そいつを真っ二つに切り裂く。
そのつもりだった。


だが、その手が止まる。



自らの前に立つ影少女がぼろぼろと崩れて行き、影が消えていく。


「崩壊してる・・・・」

「なんで・・・・」


そしてその影の中から白い物体が顔を出してきた。

否、この場合は「顔を」というよりは「頭蓋骨を」だが。




そう、出てきたのは骨だった。
完全に白骨化している。



影が晴れ、カラカラと骨が地面に転がって、影少女は消滅した。



「な、なんなんだ一体・・・・」





「「うぉォォォおおおおおアタァああああああ!!!!」」

ドォンッッ!!!




目の前の光景に驚く翼刀たち。
すると、上の方から二人の声と爆発音が聞こえてきた。


飛び出してきた蒔風とショウは全身汗だくで、髪も服装もボロボロだ。


二人が着地し、膝をついて上空を見上げる。
荒い呼吸、上下する肩。


二人の疲弊は、明らかに異常だ。


「なのは!!あれからどうなった!?」

「あ、あれからって・・・・?」

「俺と蒔風があん中に突っ込んでからだ」


蒔風とショウの質問に、なのはが戸惑う。
何があったもなにも、そんなに時間は立ってないはずだ。


だが、二人に対して翼刀が返答した。


「影少女が崩壊して、中から白骨死体が出てきました・・・いったいあれはなんですか!?」


だが、二人は答えない。
むしろ、翼刀の言葉に目を丸くしていた。



「それだけか・・・・?」

「え、ええ」

「それしかないのか・・・・?おい、今何時何分だ!?」

「え?」

「俺たちが消えてからどれだけ経った!?」


「一分もなかったすけど」


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