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世界をめぐる、銀白の翼
第五章 Over World
不吉な雲と二回戦
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だがそれは爽快なものではなく、まるで逃げ惑う自分たちをあざ笑うかのような、癇に障るような醜悪な笑い。



見上げると、暴風は止み、変わりに破壊が巻き起こっていた。

どこから飛来してきたのか、瓦礫が舞って、客席に突っ込む。



だがそれをなのはの砲撃が打ち砕き、フェイトが下にいた人たちを救出、避難させていた。


「ち、来ちまったか」

「ショウ!!あれが何だか知ってるの!?」



見上げるフェイト。


そこには、嵐の姿などどこにもなかった。




あったのは









巨大な姿をした、ドレスを着こんだ人形のようなものが、逆さまになって浮遊している姿だった。





「ショォウ!!!」

「なんだ!!」

「客席は任せるッッ!!!」




客席を守るのがショウなら、リングの選手を守るのは蒔風や翼刀の仕事だ。

あれに目的はなく、通過していくだけだろう。
ただ、こうして現出してきた意図はわからないが、こちらと交戦する意味はないはずだ。




しかし






ボシュッ!!


その宙を浮く巨体の袖の中から、黒い煙が伸びてきた。
それはボフッ、と蒔風の前に落ちると、煙は引き、人型の何かになった。


まるでそれは影のようなものだった。

しかしフリル付きのスカートや、その容姿から、彼が連想できることはただ一つ。




「まるで魔法少女か・・・・それがお前の役者かい?舞台装置の魔女よ」


影は黙って動かない。
だが、一つだけはっきりしていることは



「交戦の意思あり、か・・・翼刀!!」

「はい!!」


「全選手をこの場から迅速に避難させろ!!どんな手段を使ってもかまわない。どうなったってここよりは安全だ!!」


「わ、わかりました!!!」



そうして翼刀も駆けだす。

しかしその眼前で、ボフッ、という音がそこかしこで聞こえてきた。




「な・・・・・」

「こんなにたくさん!?」



それもまた、蒔風の前に現れた影と同じようなものだった。
ただ、一人一人は別人のように容姿が違う。






「チッ。出現は気紛れだからともかくとして、なんでこっちに脅威を奮う必要があるんだ?」

「ショウ!!あれは・・・あれはいったい何なんだ!?」



先ほどのフェイトに続き、シグナムからの質問。
彼女らもまた、黒い影に行く手を阻まれている。


それに対し、隠す必要もないとショウが答えを述べた。


頭上に迫る、巨大な影。
それを見上げて、名称を上げた。


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