第五章 Over World
翼刀VSアインハルト
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膝や掌で受けていく。
動作はそれだけなのだ。
だというのに、ダメージは攻撃しているアインハルトばかりに通る。
打ち込もうが蹴り込もうが掴みかかろうが、触れた瞬間に不動の打撃が叩き込まれるのだ。
翼刀の肌すべてがカウンターとして機能する、と考えていいだろう。
しかし、だからと言って攻めなければいいという分けではない。
スッ・・・・・
翼刀が一歩踏み出す。
アインハルトに向け、拳を伸ばし、それを彼女が回避する。
そこから翼刀が一気に腕を振った。
両掌でそれを咄嗟に受け止めるアインハルトだが、その威力には耐えられず吹っ飛んで行ってごろごろと転がった。
翼刀には動不動拳、いわば唯子の言うところの「真パニッシャー」はまだ使えない。
だが、そうでなくとも別に殴りかかる攻撃それだけでもいいのだ。不動じゃないと攻撃できないわけではない。
蹴りを避け、軸足を足払いしようとして逆に脚を弾かれるアインハルト。
そのアインハルトに向けて、不動脚でステージの全プレートを剥がし、体勢と視界を封じる翼刀。
恐らく、次の試合ではこのステージは使えないだろう。
グラつくアインハルトに向けて、両掌底を腹部に向けて叩き込む翼刀。
それを何とかして着地し、断空の両拳で迎撃するアインハルト。
威力は相殺し合い瞬間、アインハルトが拳を離して後退した。
「へぇ、やっぱりわかるか」
「拮抗したら衝撃を叩き込まれるからな」
「善い判断だな。師匠がいいからか」
「師匠じゃねーよ。あくまでコーチだ。あたしだってまだ修行中だしな」
「いやいや成長したって。あの地下道の全身タイツが懐かしいぜ」
「言うなぁ!!」
それを眺め、セコンド同士が話していた。
あ、ドロップキック喰らった。
プーーー!!
と、そこで再びアラームが鳴り、選手がセコンドの元に戻る。
「ふう・・・あれ?どうしたんすか?」
「いや・・・ちょっとドロップキック喰らってた」
「なんで!?」
「ノーヴェさん・・・」
「おうアインハルト。あれどうすっかねー」
「・・・? 顔赤いですよ?」
「いや、昔のことをちょっとな・・・アインハルト」
「なんです?」
「全身タイツだけは絶対やめとけ」
「は、はい?」
プーー!!
そして、ラウンドのアラームが鳴った。
もしこのまま場外でもカウント10でもなければ、非公開で記録されている体力ゲージと様々なポイントから考慮されて勝敗が決まる。
だが、この勝負はそんな終わり方にはならない。
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