第20話『混迷の時代の願い星〜勇者の新たなる旅立ち』【Aパート 】
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えられたときは、僅かとはいえ歓喜したものだ。『追伸〜〜俺に義娘が出来たんだ』とな―――――――――娘の名はエレオノーラ」
凱とフィーネとティナの目が見開いた。
無理もない。直接的な血のつながりなど無いとはいえ、『祖』と『父』と『娘』の連綿なる魂の絆が、今目の前にあるとは思わなかった。
そして、フィーネの心境に後ろめたさも生まれていた。そのヴィッサリオンを斬った張本人が自分だと知ったら、おそらく目の前の王は私を一生恨むのだろうと。
(……もしかして、ヴィクトール陛下が謁見の際に叱咤したのは、エレオノーラ姫の身を案じた為か?)
以前、ライトメリッツによる突然のブリューヌ介入に際し、エレオノーラは事の顛末を報告するために王都シレジアへ出向いていたことがあった。
王の許しを得ることなくアルサスへ軍を進めることは、ライトメリッツの防衛線を逸脱するだけでなく、ジスタートによるブリューヌ侵略戦争と捉えかねない。
――傭兵のような真似事をして!そなたは我が国を危険な目に合わせるつもりか!?――
それは、王の元へ身を固めてくれなかったヴィッサリオンへの憤りなのだろうか。あの時、過去から今へ至る積み重ねから、つい『傭兵』などと発してしまった。
戦姫は王に膝をついて竜具を授かった。
だが、勇者は王に膝をつくことはなかった。役目を終えた勇者の末路――竜具を王に返して王都を去った。
銀髪の『孫』に対して『祖父』の王の言葉がどう伝わったか、結局のところあずかり知らない。
王という『公』の面で警告し、祖という『私』で情が動いた故に口走った言葉であったとしても、その想いだけは決して嘘ではない。
「……ヴィクトール陛下?」
しばし無言となった王に気遣い、勇者はどうしたのかと問いかける。
「どうもいかんな……『謁見』を思い返すばかりで」
その時のヴィクトールの表情は、とても厳格な『王』とは程遠い……一人の『祖父』の笑みを浮かべていた。
それは、とっさにこぼれた『肉親』へのいたわりのようでもあった。凱の腰に備わっている、銀閃の紅玉に瞳をのせたまま、ヴィクトールは視線を外すことをしなかった。
竜具を介して人の心は紡がれていく。時代の先さえも。あまねく幾つもの未来さえも。
――ここまで人の未来をつなぎ合わせてしまうとは……ヴィッサリオンさん、俺は一人の『勇者』として、万民の『英雄』の貴方に、ぜひともお会いしたかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「最後は……『黒船』についての対応です」
先ほどヴィクトール王から発せられた単語を、凱は再び唱えた。
ヴァレンティナによって広げられた地図を見渡し、勇者はジスタ
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