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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第20話『混迷の時代の願い星〜勇者の新たなる旅立ち』【Aパート 】
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人間』だ。もう一つの未来を知る者たちが、同じほうへ歩む戦友たちもいる。たとえ凱一人が支えきれなくても、共に支えてくれる『勇気ある仲間』がいるではないか。
勇者はしっかりと王の目を見返し、答える。

「…………今は小さくとも、銀の流星は輝きを失わないと……強く信じています」

逆星によって、流星は輝き砕かれた。だが、砕かれてもなお、流星は輝き続けるだろう。

(メチタ)』を、その両腕からこぼさない限り――









◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇










「二つ目は――やはり味方が欲しいです」

精強とうたわれるジスタート軍もいるが、現状の武力情勢を振り返ると、彼女たちに申し訳ないが『無力』と思わざるを得ない。
戦場を人の力が支配し、剣と馬の戦いが中心である時代に対し、各国は『個』の力を排除し、『軍』の力で近代防衛を整えた。
しかし、それはテナルディエやガヌロンのように、『時代の影』という闇にひそみ、間隙を突いて事を成す勢力には、あまりにも『無力』だった。
なにせ、エレオノーラやリュドミラといった戦姫や、ロランという生きた伝説の黒騎士――
一騎当千の武勇を誇る者達ですら、戦場のただ中で捕縛、敗北を叩きつけられたほどだ。
『軍』をかいくぐり、『殲滅』を目的とした近代戦術がいかに対処し難いか、原種大戦や超越戦争、代理契約戦争を潜り抜けてきた獅子王凱には痛いほどわかる。
対抗できるのは、同じく『時代の影』に潜り銀閃を振るう者、最凶の暗殺者にして『勇者』と呼ばれた男しかいない。ヴァレンティナを介して凱を導いたのも、『虚影の幻姫』という特殊性もあったのだろうが――凱と同じく『影』と『闇』に潜むことができるためだろう。
目に見えない敵ほど驚異的なものはない。それは強大な力をもつ戦姫や王ならすぐにわかるだろう。
凱の言う『味方』とは、そういった情勢の水面下で立ち回れる能力を持った人たちのことを指している。
真剣な表情をヴィクトールに向け、凱は問いかける。

「ヴィクトール陛下。教えてください。今のジスタートはどういう状況なんですか?」
「うむ……そうだな」

そこでヴィクトールはヴァレンティナに視線を送る。そして彼女は大陸地図の用紙を石机に広げる。
話を再開するように、枯れ木のような王は細い指をトントンと叩く。

「シシオウ君。先ほど君が言ったように、現在の我が国はブリューヌの『転覆』に静観するだけの状況だ。近隣諸国……ムオジネルやザクスタン、アスヴァールも我が国と同じようなものであろう」
「……切り取ろうとする勢力は存在しないのですか?つまり、内乱に付け込んで攻めてくるような?」

それについての情報を、凱は何よりも欲しかった。
しか
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