129章 下北沢・ビアフェスティバル・2017
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
で、よし、おれも、ゲーテと同じくらいに恋愛で辛いんだから、
こんな小説くらいなら、おれだって書けるさ!って、
何をカン違いしたのか、小説を書く決心をしたんですよ。
そして、3回ほど書き直して書きあげたのが、
400字原稿用紙約100枚の『雲は遠くて』っていう小説だったんですよ」
「そして、しんちゃん、その小説を、中島みゆきさんに贈ったのよね。
中1の3学期のときに、ニッポン放送気付けにして、中島みゆきさん宛あてに。
その短編小説って、どんな物語だったのかしら?って、つい想像しちゃうの。
でも、しんちゃん、わたしにもその小説を読ませてくれないのよ」
信也の彼女の大沢詩織は、ちょっと不満げに頬をふくらませる。
「あ、それは、詩織ちゃん、ごめん、ごめん。時期が来たら、
その小説はネットで公開するから、それまで待ってね。あっははは」
「しんちゃん、実は、おれも、ゲーテは大好きで尊敬しているんですよ。
あの人の有名な言葉に、
『女性というものは銀の皿だよ。そこへ、われわれ男性が、
金の林檎をのせるのさ。』
とか、
『恋愛と知性とは関係ない。私たちが若い女性を愛するのは、
知性のためではなく、美しさ、若々しさ、いじわるさ、人懐(ひとなつ)っこさ、
個性、欠点、気まぐれ、その他一切のあらわしようもないもののためだ。
彼女の知性を愛するのではない。』
とか、
ありますよね。女性のことや人生をよく理解している人の言葉だって、
おれは感心してしまうんですよ。ゲーテは人生の達人ですよね。あっははは」
そいうって、いつも陽気な幸夫は、上機嫌に笑った。
「それって、ゲーテの集大成の『ファウスト』のラストに出てくる言葉と、
リンクというか共鳴する美しい言葉ですよね。
『永遠にして、女性的なるもの』と、ゲーテはファウストのラストで言っていますけど。
『永遠』を神秘的なもの、『女性的なるもの』を愛と考えて、
つまり、『永遠にして、女性的なるもの』とは、
女性のかたちをとった理想を意味するのであって、
『永遠の女性が、われらを、より高いところへ導きゆく』という意味の言葉は、
人類の希望を語って、示唆しているように、おれも思うんですよ。
男は、女性にはかなわないってとこですかね!
男たちが主導の世の中は、いつまでも、こんな困った状態ですからね。
幸夫ちゃん。あっははは」
「そうだよね。女性には、男はかないませんよ、しんちゃん。あっははは」
「ゲーテさんって、18世紀に生きた人なんでしょう。
そのころの人が、そんなに女性を尊重してくれているって、すごいことよね!」
詩織がそう言った。
「きっと、先見の目のある偉大な人なのよね!
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ