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FAIRY TAIL〜水の滅竜魔導士〜
さよならは言わないで
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『ありがと・・・またね・・・』

さよならは言わないといっていた彼女が、最後に残した別れの言葉。冷たくなった旧友の手を握り締めた青年は、彼女を抱き抱えると、すっと立ち上がり、歩き始める。

「おい、どこに・・・」

どこかに立ち去ろうとしているグラシアンさんを制止しようとしたアルカディオスさんだったが、振り向いた彼の目を見て、それを止めた。
怒りと憎しみに満ちた目をした青年は、元に向き直ると、抱き抱えたイザベリーさんを連れ、この場から立ち去ったのであった。




















第三者side

「ふぅ・・・危なかった」

大惨事に見回れたその場所から遠く離れた山の中、そこにいたのは、本来この場にいるはずのない人物だった。

「ずいぶん派手に動き回ったようだね、ホッパー」

ボサボサに黄緑の髪を直しながら、ケガの治療をしている青年の後ろから、黒髪の青年が歩み寄ってくる。

「やっと来てくれましたね、陛下」

その声を聞いてすぐさま振り返り、頭を下げるホッパー。彼の前にいたのは、最凶の黒魔導士、ゼレフだった。

「やっぱり僕を探すためだったんだね、今回の騒ぎは」
「もちろんですよ」

今回ホッパーがフィオーレ王国国王を暗殺しようとした理由、それは、ゼレフを呼び寄せるためだった。そのために彼は王国がエクリプスを使用していたことをバラし、今回の作戦に必要な人員を集めたのである。

「それで?何の用だい?」
「はい。陛下にお客様がお見えです。至急お戻り願います」
「客?」

頭を下げたまま用件を伝えると、ゼレフは眉をひそめる。なので、ホッパーはより詳細な情報を伝えるため、顔を上げた。

妖精の心臓(フェアリーハート)について・・・何か話があるようでしたが・・・」
「あぁ。なるほど」

それを聞いただけで、ゼレフは誰が尋ねてきたのか、また、何の用件なのかすぐに理解できた。

「わかった。すぐに戻ろう」
「はい。船の手配もできております」

ゼレフの前に立ち、道案内をするホッパー。青年はそれに付いていきながら、小さく笑みを溢した。

「いよいよ始まるよ、ナツ。竜王祭が」

そう呟いたゼレフの瞳は、普段の優しげなものとは異なっていた。まるでそれは、人の命の重みを考えぬ、殺人鬼のように、常軌を逸したものだった。







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