さよならは言わないで
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クラも同情しつつも、こうなってしまうのは仕方がないと割り切っている。
「たぶん、前のエクリプスが原因だろうな」
クエストを完遂したはずなのに重苦しい雰囲気に包まれていると、どこからともなく現れたリオンさんがそう言う。
「エクリプスって・・・大魔闘演武の?」
「あぁ。あれは黒魔術だからな。そんなものを王国が保有し、ましてや使用してたなんて知ったら、こうなってしまう輩もいるだろう」
どこから漏れたのかはわからないが、それを知った人たちが反旗を翻し、国王やその関係者を暗殺し、自分たちが理想とする国にしたいと考えたのかもしれない。でも、それでもいきなり暗殺計画なんかやったらダメだよね。
「大丈夫か?グラシアン」
「あぁ・・・心配するな」
二人に支えられているグラシアンさんに、ミネルバさんが声をかけると、ようやく落ち着いてきていたようで、元気そうな声が返ってきた。青年は真っ赤になった目をこちらに向けると、一つ息を付き、二人の支えから離れる。
「みんなには迷惑をかけた。あいつの変わりに謝罪させてもらうよ」
そう言って深々と頭を下げるグラシアンさん。しばらくしてみんなから頭を上げるように言われた彼がそれを上げると、再度深く息をついた。
「あいつもこれから大変だろうけど、そうなってしまったのは俺に大きな原因があるからな。これからは――――」
ドゴォーン
「「「「「!!」」」」」
彼女との思い出に幕を引き、決意を新たにしようとしたその時、突然の爆音が響き渡る。
「おい・・・この音って・・・」
「向こうから聞こえてきたよな」
爆発音が聞こえてきたのは、先程山賊たちを連れていった方向と一致していた。その音が聞こえたと思われる場所からは、黒い煙が上がっている。
「ウソだろ!!」
「あ!!グラシアンさん!!」
最悪の事態が脳裏を過る中、真っ先に駆け出した紫髪の青年。俺たちは彼についていくように、その後を追いかけ走り出した。
俺たちがたどり着いたその場所は、悲惨な姿になっていた。かつての惨事からようやく元通りの姿になりつつあったその街の一部を破壊し、火の海に陥らせていた。
「消火を急げ!!」
「衛生兵たちを!!早く!!」
その脇で慌ただしく動いているのは、爆発から何を逃れた王国兵や、後から合流しようとしていた者たち。彼らは爆発に巻き込まれ、血まみれになっている仲間や拘束した人たちに駆け寄り、治療や意識の確認をしていた。
「・・・」
血の海に染まるその場所で、彼はある人物の前で呆然と立ちすくんでいた。彼は変わり果てた彼女の姿に唇を震わせると、ゆっくりと腰を下し、血だらけ
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