558部分:第四十四話 怪物達、北にも出るのことその五
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第四十四話 怪物達、北にも出るのことその五
「絶対にな」
「へっ、そんなの俺の勝手だろ」
話を聞こうとしない灰人だった。
「誰にも迷惑をかけてないだろうが」
「いいや、そうじゃない」
華陀はそれを否定した。
「あんたは絶望しているな、これまでのことに」
「手前、何を言ってるんだ」
「誰かに言われた筈だ。あんたは絶望しちゃ駄目だ」
確かな表情で彼を見据えての言葉だった。
「何があってもな」
「じゃあどうするんだ」
「とりあえず薬を止めるんだ」
その薬をだというのだ。
「それにだ」
「それに?」
「その中毒症状と病気もな」
こう言ってであった。
「治しておく」
「んっ、何だ。針かよ」
夜血がそれを見て話す。
「それを使ってか」
「そうだ。じゃあはじめるぞ」
「わかった。それじゃあな」
灰人もそれを受けることにした。そうしてだった。
華陀は構えを取った。そこからだった。
右手に持った針を突き出し。そして叫んだ。
「光になれーーーーーーーーーーーーっ!」
「むっ!?」
「これで終わりだ!」
華陀はさらに叫んでだった。灰人のその胸が光った。それが終わった時だった。
灰人の顔色がだ。見る見るうちによくなりだった。彼も言うのだった。
「何かな。実感できるな」
「自分でもわかるな」
「ああ、わかる」
こう華陀に対しても話す。
「もう薬は必要ないな」
「そういうことだ。薬なんかなくてもな」
「戦えるんだな」
「あんた自身ともだ」
目の前の敵だけではないというのだ。
「だから安心してくれ」
「礼を言うな」
灰人ははじめて微笑んだ。この場ではじめてだった。
「あんたのお陰で。何かが見えてきた感じだ」
「医者は身体を癒すだけじゃない」
「心もっていうんだな」
「ああ、そうだ」
まさにその通りだというのである。
「だからこそだ。俺は今な」
「わかった。それじゃああんたは悪い奴じゃないんだな」
「そうよ。そんなの見ればわかるじゃない」
「違う?」
また怪物達が言ってきた。
「私達だってね。善意の塊なのよ」
「それわかって欲しいわ」
「いや、手前等は違うだろ」
「そもそも人間かよ」
灰人だけでなく夜血も彼等には警戒を怠らない。
「大体名前は何なんだよ」
「化け物でもそれ位あるよな」
「だから化け物なんかじゃないわよ」
「失礼しちゃうわ」
まだ言う彼等だった。
「私達の名前はね」
「それを言うわね」
「だから早く言えよ」
「とにかく話はそれからだ」
「貂蝉よ」
「卑弥呼っていうのよ」
ここでやっと名乗る彼等だった。
「宜しくね」
「いい名前でしょ」
「この連中は俺の仲間なんだ」
華陀がここで二
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