第61話『領域』
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俺もそう思う。きっと本人の自覚している通り、練度の問題なんだろうな」
腕を組み、そう語った終夜。晴登はそれに賛同し、頷く。
ちなみに、今の結月の症状は風邪に近い。いつもはヒンヤリとしている手が熱いのだ。
「・・・え、なにお前、いつも手とか触ってんの?」
「正確には向こうから触ってくる・・・って、違うんです!」
「はいはい、わかったわかった」
軽くあしらわれ、肩を落とす晴登。何を言っても墓穴を掘る気しかしない。
「さてと、試験の結果については考えとくとして・・・とりあえず、今日は解散だ。三浦は結月をどう連れ帰るよ?」
「おんぶしてでも連れ帰りますよ」
「うわ、大胆……」
「そろそろ怒りますよ部長」
少し語調を強めると、終夜は「怖い怖い」と言って離れていった。とはいえ、きっと緋翼と伸太郎をどうにかしてくれることだろう。
「俺は結月の面倒を見てやらないと…」
晴登は結月を背負い、先輩に別れを告げて帰路についた。
*
家へ帰り、晴登は自室のベッドに結月を寝かせる。彼女の頬は少し赤みを帯びていて、常に呼吸を乱していた。
「結月、調子はどうだ?」
「まだ怠い、かな……」
「やっぱ普通の風邪だな。体温は33.2℃で・・・まぁ、結月からすれば平熱より高いんだよなぁ…」
風邪の度合いをいまいち把握できず、困惑する晴登。病院に連れて行ったとして、まともに検診してくれるだろうか。
「病院に連れて行かないとなると・・・看病する必要が出てくるな。でもそれだと明日の学校が・・・」
学校には出たいが、結月は助けたい。そんな葛藤が晴登を悩ました。しかし、その選択肢だと答えは自然と一つに絞られる。
「もちろん、結月を助けないと」
忘れかけていたが、この世界は彼女にとっての異世界。慣れたとはいえ、まだ不安要素はいくつもある。独りにしておくなど、誰ができようか。
「智乃の風邪だってよく看てたし、大丈夫だ」
自信を胸に、晴登は結月の看病を始めた。
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