第61話『領域』
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響く。音のした方を見ると、黒煙が入道雲の様に立ち上っていた。
「何だ、今の音…?」
「──っ、暁君!?」
「な……辻っ!」
音のした方で何が行われていたか。それを察した晴登は、急いで爆発地点に向かう。
終夜も後に続いた。結月はまだ動けない。
目的地に辿り着くと、まずその光景に目を疑った。
「なに…これ…」
「隕石でも落ちたのか…?」
目の前に広がるのは、直径5mほどのクレーター。その表面は所々赤く、まだ熱を持っているのだとわかる。
そしてそのクレーターの外側に、伸太郎と緋翼は倒れていた。
「暁君、大丈夫?!」ユサユサ
「…あ、あぁ三浦か…。大丈──」
「部長、暁君ボロボロです!!」
「あれ、無視…?!」
伸太郎が何やら言っているが、ボソボソしてて聞こえない。晴登は終夜に指示を仰いだ。
「辻もやられてんな。試験は一旦中止だ。とりあえず保健室に運ぶぞ!」
「はい!」
快活に返事をして走り出したのも束の間。晴登は痺れて動けない結月を遠目に見て、終夜に告げた。
「結月はどうします?」
「そうだな・・・じゃあ、お前が運んで来い」
「え、二人も持てないですよ!」
「暁は2年生に持って貰えば良いだろ。それとも何か? お前は2年生に結月を持たせたいのか?」
「いや、それは・・・」
「正直で何よりだ。ほら、急げ」
「は、はい!」
何か、まんまと罠に嵌められた気分だった。
*
保健室に着いて、怪我人の二人を空いているベッドに寝かす。幸い、先生は見当たらなかったので、怪我についての説明はしなくて済んだ。
ちなみに二人はとある理由で、もう目覚めていたりする。晴登は伸太郎に事の次第を尋ねていた。
「──という訳なんだ…」
「暁君ってバカなの?」
「いや、発想は良かったはずだ…!」
「けど、もしお前らに火耐性が無かったら大事故に繋がってたぜ? 今度からは自重しな」
「う、はい……」
所持する能力の属性と同じ属性の耐性を持つというのが、魔術ではお約束らしい。だから二人とも軽傷で済んだし、意識が戻るのも早かった。
しかし、だからと言って、今回の伸太郎の技は聞く限りかなり危険だ。魔力が残り少ない状況下でもあの威力となると・・・この先は考えたくない。
「さてと・・・問題はこっちだな」
終夜が、二人の寝るベッドとは違うベッドの前に行って呟く。彼の眼前、ベッドの上で苦しそうにしている結月の姿があった。
「三浦、これをどう見るよ」
「…たぶん、鬼化の副作用とかじゃないですかね」
「
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