第61話『領域』
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ねぇけどよ!」バチィ
瞬間、黒い閃光が空を駆け巡る。あまりの速さに晴登の目は追いつかないが、結月は右手で軽く往なした。
「ちょっと、いい加減にしないと部長怒っちゃうよ?」
「それは筋違いです。防がれるブチョウが悪いんです」
「言ってくれるな。じゃあ、とっておき魅せちゃおっかなー?」
勿体ぶる終夜を他所に、結月は掌を突き出す。そして、冷気を収縮させた。
「ノーリアクションかよ。…んじゃ、いくぞ大技」
わざわざ予告までして、終夜は魔力を溜め始めた。無論、結月はそれを待たずに、創り出した氷柱を放った。
・・・氷柱? 危なくね!?
横腹を抉られた記憶がフラッシュバック。傷は癒えているが、無意識に晴登は横腹に手を添えていた。
それにしても、氷柱は危ない。さっきまで地面からポンポン突き出てた気がするけど、やっぱり危ない。まして今の終夜は無防備。先程みたいに防げないだろう。
「おい結月、スト──」
「その必要はないぜ」ズドン
晴登の声を遮り、氷柱を破壊しながら轟音が落ちる。それはまさしく・・・
「"黒雷鳴"…?」
「──と思うだろ? けど違うんだなぁこれが」
「何が・・・、ッ!?」
終夜が不敵に微笑んだ途端、結月の身体はピタリと止まる。正確には、小刻みに痙攣していた。
──この光景には、見覚えがあった。
「合宿の時の…!!」
「正解。地面に電気を流したんだよ」ニッ
合宿の時というのは、GWの頃の終夜と緋翼の戦闘の時だ。その時も終夜は地面に電気を流し、緋翼を麻痺させていた。
やってやったと言わんばかりの終夜。それを見て、結月は悔しそうに唇を噛み締める。
「さてさて、じゃあトドメと参りますか──」
「まだです!」
「……来ると思ったぜ、三浦。ほら、彼女がピンチだ。もちろん、助けるよな?」
「彼女かどうかはさておき──助けるに決まってます」
「ハルト…!」
鬼化した結月ですらも無力化した終夜に恐怖心を抱いたが、それが結月を助けない理由にはならない。
晴登は立ったまま動けない結月の前に立ち、終夜を見据える。
「俺らの領域に入って来れるのか?」
「確かに…さっきまで俺は動けませんでした。二人とも動きが全く見えなかったし、俺が混ざれるとは思いません。でも、例え相手が強大でも、俺は結月を守るんです」
「はっ、頼もしいじゃねぇか。じゃあ、見せてもらうぜ!」バチィ
終夜の右手に纏う黒雷の電圧が上がった、その時だった。
ドゴォォォォォン!!!
「「!!?」」
耳を劈くような爆音が
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