暁 〜小説投稿サイト〜
彼願白書
リレイションシップ
インターンシップ
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
こでしか達せられない。」

「いつもいつも、あんな敵を相手にしているわけじゃない。」

「そのくらいはわかってます。」

そこまでやり取りをして、壬生森は何度目かの溜息を吐く。

「まったく、私は頭が痛いよ。熊野め、自分で判断付かないからって私に投げやがって。」

「熊野が判断するわけないじゃない。だって、アイツの提督はアンタなんだから。」

強く、凛として聞き慣れた声に、壬生森は振り向く。

「貴女は、あの時の……」

「私はアンタの願いなんか、知ったこっちゃない。」

叢雲は、来た時の私服のまま、槍だけを出して握る。

「私にとって重要なのは、どんな願いだろうが、それをどれだけ大事に育てているか、ってこと。アンタの願いが、ちゃんと力を伴うかどうか……その願いがアンタの本心からの願いで、それを貫き通したいってなら、私の前に来なさい。」

叢雲はそう言って、左手で挑発するような手招きをする。
神風は、ゆっくりと、一歩ずつ、叢雲の前に向かって歩く。

「構えなさいよ。立っていられたら、アンタを認めてやるわ。」

「腕試し、ということですか。」

壬生森達は、その様子を静かに見守ることにした。

「ところに春風、君はさっきから何も言わないが。」

「私は御姉様の行く末を見守ることにしてますから。」

「とんだ貧乏籤だ。最近、叢雲の機嫌はかなり悪い。」

「御嬢様の機嫌が悪いのは、どっかのヘタレのせいでは?」

メイドはそう言って、ハーブティーのおかわりをグラスに注ぐ。

「叢雲の機嫌が悪いのなんて提督のせいに決まってんじゃん……」

「鈴谷、そういう悪評はやめようか。」

そんなことを言ってる間に、叢雲と神風は対峙していた。
槍を握って上段で構える叢雲と、刀に手を添えて構える神風。

「耐えてみなさい。防いでみなさい。この一槍を受けて尚、生きていたなら、認めてあげる。」

あの日のように、叢雲の槍が光を纏う。
逆巻く風、嵐のように、その光はまるで、周りから光を巻き取るように輝く。

「行くわよ。弔う骸くらいは残してあげる。」

叢雲はその光の槍を握って、空に跳ねる。
まるで、神判を下すように、その槍は神風へと放たれた。

その槍に対して、神風は剣を抜いた。
激突する刃。
その衝撃と光は、神風の姿を完全に包んでしまう。

壬生森達もその光に目を逸らす。

しかし、春風だけは、その光に顔を背けなかった。

そして、放った叢雲の着地した頃に、光と衝撃は収まり、土煙の中から叢雲の手元に槍が跳ね返ってきた。
それを取った叢雲は、すぐさまその槍を振るった。

ガキリと音がなる。

叢雲の槍の穂先と、神風の剣が再び激突する。

驚い
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ