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渦巻く滄海 紅き空 【下】
二 怪しい雲行き
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しておいた。すぐに警戒態勢を取ってくれるとよいのだがのぅ」
綱手とカカシに報告する自来也の脳裏に、情報を流した里の一つが過ぎる。

中忍試験時にかつてナルと闘った相手だからか、ナルと似た境遇だからか、同じ人柱力だからか。
何れにしても砂隠れの里がどうも気にかかる。

もっとも、情報を流した砂の警備部隊の隊長は周囲からの信頼が厚い人物のようだった。心配はいらないか、と自来也は修行の旅で得た情報を報告することに専念する。


ちょうどその折、砂隠れの里に組織の影が忍び寄っていたが、現時点では誰も気がついていなかった。

















火影室から、ほぼ追いやられる形で里へ繰り出した波風ナル・山中いの・奈良シカマル、そしてテマリ。

いのに頼んでいた植物の世話等や中忍になれていないのがナルだけだという衝撃的事実を交えた近況報告を道すがら済ませる。
テマリが木ノ葉の里に来た理由が中忍試験の打ち合わせだと納得した後、ナルは先ほどから気になっていた事柄を彼女に問うた。


「テマリ姉ちゃん、我愛羅は?元気だってば?」
「ああ元気だよ―――我愛羅は、」

自分の弟が今どうなっているのかを誇らしげに伝えるテマリに対し、火影を目指しているナルには酷かと、いのとシカマルは気まずい表情を浮かべる。
顔を伏せるナルが拳をぎゅっと握ったが、二人の危惧は杞憂に終わった。
「そっか。我愛羅が…」


気合を入れるように、ぐっと背筋を伸ばす。ナルの決意が込められた視線に、一瞬テマリは眼を瞠った。
「オレも…っ、負けてらんねぇってばよ!!」
幼き日からずっと抱いている夢を火影岩に向かって改めて宣言する。


「絶対火影になってやる…!!見てろよ、我愛羅…っ」


















禿鷹が飛んでいる。

太陽を背に飛ぶ鳥の鳴き声は、吹き荒れる砂嵐に雑じっていても、里に響き渡る。
乾燥し切った空気を裂くように旋回し、小さな鳥影が砂隠れの里に落ちてゆく。


いつものように、我愛羅は己が治める里を俯瞰していた。里に聳える建物を砂が叩いてゆく。
無表情で里を見つめる彼の瞳には憂いが満ちており、知らずに溜息が零れていた。

里長に就任したと言えども、我愛羅の心中は気掛かりなことばかりだ。自業自得なので反論のしようもないけれど、かつての己の所業から、自分を怖れる里人も多い。
我愛羅は恐怖による支配などしたくはないし、するつもりもない。しかしながら中には、上層部の人間を脅して風影になったのでは、と疑う者もいる。

現状、我愛羅が風影になった事に関して認めていない里人が多数を占めているのは事実だった。



再び溜息を
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