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とある3年4組の卑怯者
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「はあ〜・・・」
 静岡県の入江小学校に通う3年4組の少年・藤木茂は溜め息をついていた。理由は今日も散々な目に合ったためだからだ。一昨日は掃除で雑巾がけをやっていた際にバケツをひっくり返して皆から責められた。昨日なんて算数の授業中に先生から回答を要求された時に答えを間違えて皆の笑いものになってしまった上に、昼休みは廊下を走っていた生徒とぶつかった。そして今日は、漢字の宿題をやってきておきながら家に忘れてしまい、先生に正直に伝えたのはいいが、皆から信用してもらえず、皆から卑怯、卑怯と繰り返し言われた。
(なんで誰も信じてくれないんだ!どうして本当のことを言ったのに卑怯になるんだ!!)
 藤木は今日は一日中その自分の代名詞のような言葉である「卑怯」という言葉でで頭を悩ませなければならなかった。だが休み時間・・・。
「藤木君」
 優しそうな声が藤木を呼んだ。クラスメイトの笹山かず子だった。
「さ、笹山さん・・・」
 藤木は頬を赤らめた。藤木は彼女が好きなのだ。
「朝から大変だったわよね。気分悪くなっちゃったでしょ?」
「あ、いや、その・・・」
「気にする事ないわよ。今度から気を付けてね。それじゃあ、元気出してね」
「あ、うん、ありがとう」
(笹山さんは僕を卑怯呼ばわりしていない・・・)
 藤木は好きな女子から心配されて少し元気を出すことができた。

 放課後、藤木は親友である永沢君男と共に下校していた。その時、藤木は前方に笹山の姿を発見した。同じクラスメイトの城ヶ崎姫子と共に歩いている。
(笹山さんと一緒に帰りたいなあ。今日僕の心配をしてくれたお礼も言いたいし・・・)
「藤木君・・・」
 永沢が話しかけた。
「な、何だい?永沢君」
「君、まさか笹山と一緒に帰りたいなんて思っているんじゃないだろうね」
「いや、そんなことないさ!」
 藤木は自分の思っている事を悟られた。
(永沢君はどうして僕の考えていることが分かるんだ・・・!?)
 笹山と帰る方向が分かれた。結局藤木は彼女にお礼を言う事ができなかった。
 こうなってしまえば溜め息をつくしかないだろう。
(僕はなんでこんなドジばっかするんだろう・・・)
 藤木は不幸体質の己を嘆いた。

 とある日曜日、藤木は家でボーっとしていると、彼の母が声をかけた。
「茂〜、買い物行ってきてくれる?」
「あ、わかったよ」
 藤木は母から買い物袋を受け取り、家を出て行った。
(なんか変な目に合わないかな?)
 藤木は外出に若干の不安を感じていた。

 買い物をすべて済ませて帰ろうとしているところ、藤木はある家族が目に入った。
 父親と思われる人物は外国人だ。母親の方は日本人だった。そしてその娘と思われる子は茶髪で肌の白い少女だった。そしてその少女もこちらを見て
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