ペルソナ3
1771話
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ら、止めておこうな」
「……なっ!? わ、分かってるわよそんな事!」
そう叫ぶゆかりだったが、傷物の意味は俺の言葉でようやく理解したと見てもいいだろう。
ともあれ、急激に顔を真っ赤に染めるゆかりが、ホールの奥に続く通路へと進む。
「おい、待て」
「何よ」
「あのなぁ。お前だけで進んで、影に遭遇したらどうするつもりだ? お前の力だけで、影に勝てるのか?」
「それは……勝てないけど」
ゆかりの弓道の技量は決して低くはない。
だが、実践慣れしていないという事もあり、影に距離を詰められればどうしようもない。
その辺り、もう少しどうにかした方がいいとは思うんだが……
まぁ、実際この現象に巻き込まれたのは昨日……いや、もう日付が変わっていたし、一昨日か?
ともあれ、そんな具合だ。
そう考えれば、近接戦闘に対応出来なくても仕方がないだろう。
「今はいいけど、そのうちある程度影に接近されてもどうにか出来るようにした方がいいだろうな」
「……そうね」
少し不満そうにしながらも、ゆかりは頷く。
「分かればいい。そんな訳で、今は俺を……ああ、そう言えばこの手段があったな」
「え?」
俺の呟きに聞き返すゆかりだったが、それを無視して右手を白炎にし、その白炎で獣を……炎獣を生み出す。
形は、取りあえずゆかりが動く邪魔にならないように……それでいてゆかりのイメージに合わせて、猫だ。
「ちょっ、何これ!?」
猫の炎獣の姿に、ゆかりの口から驚きの声が上がる。
その驚きの声の中に、どこか喜色が混じっているのは……まぁ、そういう事なのだろう。
「俺の持つ能力の1つ、炎獣だ。その名の通り、俺の炎で生み出された疑似生命体だな。……ああ、敵対する相手でなければ熱を感じるようなことはないから、安心しろ」
「本当?」
そう言いながらも、ゆかりの視線は猫の炎獣に向けられたままだ。
そして恐る恐る……といった様子でそっと手を伸ばし、炎獣に触れる。
炎獣の方も、ゆかりに敵意はないというのは分かっているのだろう。特に何をするでもなく、大人しくしていた。
「わ、本当だ。熱くはない……わね。暖かいけど」
そう呟きながら、嬉しそうに炎獣を撫でるゆかり。
「別に俺は可愛がらせるつもりで炎獣を生み出したんじゃないけどな」
「え? なら、何で?」
「お前の護衛の為だ。俺がずっとゆかりの護衛をしているってのも戦力的に無駄だろ?」
「それは分かるけど……じゃあ、この猫は戦えるの?」
「ああ。それこそ、ここに出てくる影程度なら余裕で倒せると思うぞ」
「……本当?」
疑わしそうな視線を向けてくる。
実際、猫より若干大きい程度の大きさなのだから、ゆかりの心配は分
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