第一章 天下統一編
第二十一話 宴会2
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に来た訳じゃないだろう。理由が全く分からない。
「頂戴します」
俺は蒲生氏郷に頭を少し下げ、酒杯の酒を一気にあおった。蒲生氏郷は「よい飲みっぷりだ」と笑い俺の肩を力強く叩いてきた。蒲生氏郷のなれなれしさに違和感を覚えた。こう言う風に酒を酌み交わす仲では無いと思うんだが。
「相模守、歳は幾つだ?」
蒲生氏郷は唐突に俺の歳を聞いてきた。俺は素直に答えることにした。ここで妙に意地を張っても意味がないしな。
「十二です」
「十二か」
蒲生氏郷は俺の返答を噛みしめるように反芻した。
「相模守、問うまでもないが年上の女は気にならないか?」
蒲生氏郷は雪に視線を一瞬向けた。彼の脈絡のない問いかけに俺は要領を得ず言葉につまった。
「他意はない。気になるかどうか聞いているだけだ」
蒲生氏郷は俺が彼のことを不信に思っていると思ったようだ。言葉を額面通りに取ることはできない。だが、俺には考えがつかない。
「女子の歳は気にしていません。私が好んだ女子なら歳など気にする必要はないです」
俺の返答に蒲生氏郷は「そうか」と口元に笑みを浮かべると騒ぐ俺の家臣達に視線を向けた。そして、蒲生氏郷は愉快そうに俺の家臣達の姿を見ていた。
「相模守、お前には許嫁はいるのか?」
「許嫁ですか?」
俺は蒲生氏郷の更なる質問に質問で聞き返した。ここにきて蒲生氏郷の意図が見えたきがした。
蒲生氏郷は俺に縁談話を持ちかけようしているような気がする。
「どうなのだ?」
蒲生氏郷は俺に視線を戻すと返事を求めてきた。
「許嫁はいません」
「そうか。そうか」
俺は蒲生氏郷の反応に確信を得てしまった。俺は家臣達と酒を飲み出来上がっている家老達に視線で助け船を求めた。だが、彼らは俺の視線に気づくと「楽しんでおりますぞ!」と大笑いしながら俺の期待とは裏腹な対応を返してきた。
「相模守、今日はこれで失礼させてもらう。酒を馳走になった。次は私が酒に誘わせてもらおう」
蒲生氏郷は俺に一方的に言うと会話を打ち切り去ろうとした。彼が俺の陣所に訪ねた理由は俺に縁談をもちかけることができるか確認しにきたからに違いない。縁談を勝手に進められたら凄く困る。その縁談相手が誰かも分からない。だが、彼の口振りでは縁談相手の女性は俺より年上に違いない。
「蒲生様、もっとごゆるりとされてはいかがですか? 折角の機会ですし」
俺は蒲生氏郷に考えを改めさせるため、彼を長居させようとした。
「折角の誘いだが、小田原へ向かう準備が未だできていない。明日には出立するつもりなのだ。悪いな。この埋め合わせはきっとする」
蒲生氏郷はきっぱりと俺の誘いと断った。無理矢理に余所の酒盛りに乱入して
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