第一章 天下統一編
第二十一話 宴会2
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ていることが分かる。
「存英、無礼講だ。許す」
俺が許可を出すと十河存英は地べたに腰を下ろした。どんな話をはじめるか俺は興味があった。だいたい予想はついている。城攻めのことだろう。
「本当に。本当に二日後に城攻めを行うのですね?」
十河存英はろれつが少し回らない口調で俺に聞いてきた。普段の不満が酒の力で噴き出したのだろう。総大将の織田信雄が罷免され、付け城作りを命じられている以上、勝手に城攻めを続行することはできない。城攻めに参加したいならば俺に采配に従う以外にない。
「本当だ。二日後に城攻めをはじめる」
「何故今なのです! もっと早く城攻めに掛かれば既に落ちていたかもしれないではありませんか!」
「俺の兵はたった五百足らずだ。その兵の数で影響があるとは思わない」
「では、二日後に城攻めをしても結果は同じではありませんか!」
十河存英は怒鳴った。この主張は的を得ている。だが、全軍を指揮していたのは織田信雄だ。だから、十河存英の言い分は正しいとは限らない。有能と行かなくても凡将であれば大軍を有効活用することはできたはずだ。そうしていれば今頃韮山城は既に落ちていたはずだ。
「普通にやっては城は落とせない。だが、織田内大臣様が居ないだけで城攻めをやりやすくなる。そうは思わないか?」
俺は口元に笑みを浮かべ十河存英へ聞き返した。
「それは。そうでございますね」
十河存英は納得したように頷いた。俺の陪臣にまで侮られる織田信雄の采配は問題ありすぎだろ。十河存英は積極的な城攻め派だった。だから、織田信雄の無謀な力攻めを目の当たりにしていたのだろう。俺の指摘にすんなり納得するあたり、織田信雄の指揮は相当酷かったに違いない。
「後は神風を待つだけだ」
俺はおどけた態度で十河存英に答えた。
「神風でございますか?」
十河存英は最初の剣幕は収まりきょとんとした目で俺のことを見ていた。
「そう。神風だ」
「それは運頼みということか? 相模守」
俺と十河存英が会話をしていると誰かが俺に声をかけてきた。その声の主の姿を見て俺はげんなりした。蒲生氏郷だ。事前の連絡無しで俺の陣所にやってくるのは失礼だろう。俺の方が小身だから無礼を働かれても文句を言えない。
「これはこれは蒲生様。このような汚い場所に何用でしょうか?」
俺は直ぐに表情を整え営業スマイルを蒲生氏郷に送った。
「相模守、そう邪険にするな。お前と小田原に向かう前に一度話しておきたいと思っただけだ」
蒲生氏郷は俺の露骨に嫌な表情をした瞬間を見逃さず、意味深な笑みを俺に返した。
「ところで本当に神風を待っているのか?」
蒲生氏郷はもう一度俺に聞き直してきた。
「蒲生様、
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