第一章 天下統一編
第二十話 宴会1
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きません」
曽根昌世は厳しい表情で俺に意見した。それに俺は悪人の笑みを返す。
「勢祐が居るだろう。大手門突破まで江川砦は私達の動きに気づけないはずだ。だから、江川砦内に兵を送り込むこと自体は難しくない。砦に兵を送ってしまえば後は兵の数がものをいう。違うか。内匠助。江川砦に籠もる者は百名弱。だが、全てが兵ではあるまい。その中には近隣住民や兵の家族も含まれるはずだ。精々相手する兵は五十と見ていい。三百の兵を送り込めば一気に片がつく」
「分かりました」
曽根昌世は俺の作戦を納得し頷いた。他の三人達も同調するように頷いていた。
「江川砦での戦闘は闇夜の戦いになる。乱戦となれば鉄砲は使うことができない。使い処が無くなった鉄砲を江川砦の異常を察知した敵の後詰めに対して使う。敵兵は真っ直ぐこちらに攻めてくるしかない。勢祐、待ち構えて鉄砲を撃ち込めば良い的になるとは思わないか。こちらには石田様から鉄砲・弾薬一式を借り弾薬が尽きる心配はない。根来の連続打ちを披露する絶好の機会だぞ」
「殿は恐ろしい御方でございますな」
岩室坊勢祐は口角を上げ俺の計画に乗り気な様子だった。
「鉄砲と弾薬の心配はしなくていい。全て使いきるつもりで使え」
俺は拳を握りしめ振り上げた。それに岩室坊勢祐は調子を合わせ、「お任せあれ! 我ら根来の底力を板東の者達に見せてやります」と拳を振り上げた。
「そういうことだ! 内匠助、俺の計画でいけそうか?」
「殿、成功の確率は六分といったところでしょうか」
「上々だ。勝ちすぎては痛い目に合うからな。私達が目指すは天ヶ岳砦だ」
俺は藤林正保・曽根昌世・岩室坊勢祐・柳生宗矩の顔を順に見た。四人は俺に頷き返した。
「内匠助。明日は昼から盛大に酒盛りを行いたいと思う。兵達に酒と飯を大いに振る舞って欲しい」
「それは景気がいいですな。酒が飲めると聞けば家臣達も喜ぶでしょう!」
岩室坊勢祐は酒がたらふく飲めると聞き嬉しそうにはしゃいでいた。
「藤林正保、お前に管理を任せていた銀はまだ残っているか?」
「調略用として使う予定でしたので未だ十分に余っています」
「それを全て兵達に配れ」
俺の命令に藤林正保は目を見開き驚いていた。
「全てでしょうか!?」
「全てだ。金は城攻めに成功すれば幾らでも融通できる。城を落とせば関白殿下から与えられた朱印状を使い津田宗恩から金策する。伊豆国の下田湊を自由に使える権利を与えると持ちかければ上納金を払うはずだ」
「かしこまりました」
藤林正保は納得し頭を下げた。これで兵達の志気は上がる。
「殿、酒盛りは敵味方を欺くための芝居とでしょうか?」
曽根昌世の質問に対し俺は深く頷いた。明日に酒盛りを行えば奇襲の
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