第一章 天下統一編
第二十話 宴会1
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さるまで動かないでしょう。殿が関白殿下の約束を守ったことになりませんから。お二方とも十分に理解されておられるはずです。それと」
曽根昌世は淡々と喋り言葉を切った。俺に言いづらそうな様子だ。
「内匠助、遠慮しないで言ってくれ。俺は年若い。色々と至らない部分があると思うから、気兼ねなく話して欲しい」
「殿は織田内大臣様に啖呵を切られて件もあります。後のことを考えれば、お二方は殿が奇襲に成功して即座に動くより、夜が明けてから殿の正式な依頼を待って動いた方が殿にとって都合がいいと考えることでしょう。他の武将達が証人となります。仮に一部の武将が殿に悪意を抱き情報を捏造しようと直ぐにばれます」
俺が曽根昌世に意見を話すように促すと彼は喋りだした。彼は俺と織田信雄のいざこざを気にしている様子だ。俺が単独で落としたことを証明するには証人は多いに越したことはない。
「長門守と勢祐。これまでの曽根昌世の意見と同意見か?」
「はい。二人とも関白殿下の決定に逆らう真似はしないでしょう」
「戦に身を置く者ならば軍令無視は命取りであることは心得ているでしょう。内匠助殿の懸念は最もだと思います。殿、この世に屑は掃いて捨てるほどいます。その屑ども相手に生き残ることも戦場に立つ者に必要な才覚の一つです」
俺の問いかけに、藤林正保・岩室坊勢祐は曽根昌世の意見と概ね同じようだった。俺は三人に対し頷き、右手人差し指の腹を顎に当て思案した。福島正則と蜂須賀家政が俺の計画を邪魔することはないだろう。だが心配の必要はないだろう。
「殿、今後の段取りは如何なさいますか?」
藤林正保が俺の存念を尋ねてきた。残りの二人も同じことを考えているようだ。
「長門守、江川砦の調べは進んでいるか?」
「つつがなく。城では外との連絡が取れず不安を抱く者達が少なからずいるようです」
俺は藤林正保から城内の様子の報告を受けると藤林正保のことを見た。
「その者達を調略できそうか? できることなら江川英吉を調略したい」
「ここで調略は危のうございます。折角、殿が綿密に組み立てられた計画に支障をきたす恐れがございます」
藤林正保は調略に否定的なようだな。確かに一日や二日で江川英吉を調略できるとは思えない。城内に不安が蔓延しているならば、それにわざわざ干渉する必要もない。織田信雄にあんな啖呵を切らなければ良かったな。余計なことを言って行動を制約してしまった。今後は気をつけよう。本当に口は災いの元だ。
「藤林正保の言葉を聞きいれ調略はしないことにする。江川砦から天ヶ岳砦への移動経路の確保はできそうか?」
「縄張図通り江川砦から天ヶ岳砦の間には二つの堀切がございます。足場が悪いため城を奇襲する時に天ヶ岳砦まで兵を進めるのは危険かと思います。日
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