第一章 天下統一編
第二十話 宴会1
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問いに俺は思案した。
答えは直ぐに出た。今回は必要ないだろう。
韮山城攻めに加わる風魔衆は柳生宗矩の傘下で動かしている。そのことは風魔衆も了解している。彼らも露骨に表立って俺の軍議の席に顔は出したくないようだった。北条家が倒れるまで、この状況は続くに違いない。豊臣軍が小田原城を完全包囲し北条家に勝ち目が全くない状況になれば風魔衆も堂々と顔を出す可能はある。
「必要ない。風魔衆が現時点ではそれを望んでいる。又右衛門、今回の城攻めに加わる風魔の忍びはお前に預けることにする。彼らに伝える必要がある情報があれば、お前から伝えて欲しい」
柳生宗矩は俺の指示に納得し「分かりました」と頷いた。
それでは本題に入るとするか。
「内匠助、福島様と蜂須賀様はどの段階で城攻めに加わると思う。私達の動きを監視しつつ、大手門を突破したらすぐさま兵を動かすと思うか?」
正直な話、福島正則と蜂須賀家政には俺の指示を受けず勝手に動かれれては困ると考えている。大手門を突破し、江川砦を落とすまでの筋書きは俺の兵だけで攻め落とすことを想定している。そして、天ヶ岳砦を落とすまでの筋書きもな。三日後の奇襲で天ヶ岳砦まで兵を進めることは厳しいと考えている。だが、そこまで兵を進めれば韮山城は一週間の内に開城させることが可能だと思っている。それだけ韮山城の防衛上で天ヶ岳砦は戦術的に重要な拠点ということだ。
俺の兵だけで城攻めに王手をかけたい理由もある。
それは韮山城攻めから一ヶ月で下がりきった俺の評価を一気に上げておきたいという気持ちがあるからだ。大手門突破だけでも十分だが、韮山に在陣する武将達の目に俺の勇姿を焼き付けるには福島隊と蜂須賀隊が加わるのは後の方がいい。福島隊と蜂須賀隊が加わったから韮山城が落ちたとか陰口を叩かれたく無い。だが、最悪の状況に陥った場合、福島隊と蜂須賀隊に協力を仰ぐことになるだろうと思う。意地を張っても仕方ないからな。
でも、俺の兵だけで城の攻略をできるだけ進めたい理由は俺の面子の問題だけじゃない。俺の悪い評判のせいで、俺の家臣達が味わった屈辱を晴らす目的もある。俺の家臣達は没落した者達ばかりだから余計に辛い想いをしてきたに違いない。幾らは敵を欺くためとはいえ家臣達には本当に悪いことをしたと思っている。
だから、俺は一角の武将であると天下に知らしめる必要がある。
今のままだと口先だけの豊臣一門と言われそうだ。
もしそうなったら俺の将来が心配になってくる。
誰も相手にしない武将。将来、領地を改易されて無一文になりそうだ。
そうならないためにも小粒大名じゃなく、正真正銘の大名になりたい。そのためには領地を十万石以上は欲しい。
「ご安心ください。お二方には殿が念を押されたではございませんか? 殿が援軍を要請な
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