巻ノ九十七 金の極意その九
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「幕府はやがてな」
「間違いなくですか」
「切支丹は禁じられますか」
「そうされますか」
「そうする、そしてこれに反すれば」
若しだ、そうなればというのだ。
「幕府は何者も許さぬ」
「功臣達を殺めることはしなくとも」
「お拾様を大事にされてもですか」
「切支丹だけは許さない」
「そうなのですな」
「それだけはせぬ」
こう言うのだった。
「切支丹を許すことはな」
「それだけはですな」
「幕府は許せぬこと」
「民達を害するが故に」
「切支丹だけは」
「ましてや耶蘇教は他の教えを認めぬ」
幸村は耶蘇教のこのことについても言った。
「神仏を否定し神社仏閣を壊して回る」
「大友家がそうでしたな」
「それでかなり厄介なことになっていましたな」
「九州の方で」
「そうなっていましたな」
「神仏は大事じゃ」
幸村ははっきりとした声で言った。
「少なくとも壊すものではない」
「例え教えが違えども」
「それでもですな」
「そこでそうしたことをするとじゃ」
耶蘇教の様に他の教えを否定し神社仏閣を壊して回ればというのだ。
「天下は恐ろしいことになる」
「そのこともあってですな」
「幕府は耶蘇教は認めぬ」
「そうなのですな」
「そうなる、これに反するなら誰でも許されぬからな」
このことからもだ、幸村は言った。
「天下で間違える者がおればな」
「その時は血が流れますか」
「そうしたことも有り得ますか」
「流石に幕府も放っておけぬ」
こればかりはというのだ。
「だからじゃ、大坂がそこを間違えねばよいが」
「若し間違えれば」
「その時は」
「戦になるやも知れぬ」
深刻な声だった、幸村の今のそれは。
「その時はな」
「ですか、では」
「それを豊臣家が間違えぬこと」
「そのことが大事ですな」
「これからは」
「うむ」
幸村は十勇士達に答えた。
「そうなる」
「ですか、では」
「このことは」
「覚えておくことじゃ」
切支丹のことはというのだ。
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