553部分:第四十三話 劉備、妹達を得るのことその十四
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第四十三話 劉備、妹達を得るのことその十四
「皆、行こう」
「けれどその前に」
ここぞとばかりに言ってきた劉備だった。
「三人の」
「そうだな。店だな」
「そこで宴を開くのだ」
関羽と張飛も義姉の言葉に頷く。
「まずは姉妹の絆を誓ってだ」
「それからでないと話ははじまらないのだ」
「ええと、何処がいいでしょうか」
店を探す。道中を進みながらだ。
やがて益州への手前の街に入ってだった。そこに店を見つけたのだった。
「ここがいいですね」
「そうだな」
「たっぷりと食べるのだ」
店の名前はだ。何と。
「王将ね」
「どうかしましたか、神楽さん」
「いえ、このお店だけれど」
神楽はその店の看板を見ながら劉備に話す。街には人々が行き交っている。その街の大路にその店があったのである。
「この国のあちこちに同じ名前があるけれど」
「あっ、そういえば」
「確かに」
「今までも何度かこのお店の名前見てきたよな」
「そうよね」
皆ここでこのことに気付いたのだった。
「一族なのでしょうか」
「おそらくは」
「天下一品という名前も時々見るが」
「それと一緒なのか?」
「私の時代の日本にはあるわ」
こう話す神楽だった。
「こうしたお店がね。まあとにかく」
「ここでいいですよね」
劉備は店の看板を見上げながら神楽に尋ねた。白い木の板に黒く大きい文字で王将と書かれていた。それを見ながらなのだった。
「このお店で」
「いいと思うわ」
神楽はそれ自体はいいとしたのだった。
「それじゃあ」
「はい、入りましょう」
「そして三人のだな」
「姉妹の契りを結ぶのだ」
三人で笑顔で言い合ってだった。そのうえで店の中に入り宴を開く。今ここに三人の姉妹が生まれたのだった。これも運命の導きだった。
第四十三話 完
2010・11・11
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