第三章
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「跳べないと優勝出来ないから」
「大会で」
「だからなのね」
「跳ぶのね」
「まだ」
「そうするわ」
こう言うのだった、そして。
まおみはまた跳んだ、しかしまた無理だった。だがそれでもだ。
挑戦し続け工夫も続けた、そうしていくと。
次第にとだ、友人達が彼女に言った。
「よくなってきてるわよ」
「バーの落ち方でわかるわ」
「前はすぐに落ちてたのよ」
「身体がかなり触れていてね」
跳ぶその時にというのだ。
「そうなっていたけれど」
「今はね」
「身体もかなり触れなくなっていて」
「それでバーの揺れ方も少しになってきていて」
「暫く後で落ちる様になってるから」
「もう少しよ」
「そうなの?だったら」
それならとだ、まおみも希望を持ってだった。
さらに跳ぶことにした、あと少しならと思ってだ。
それで跳び続けた、この時から一週間大会がそろそろ間近という時にだった。
跳んだ後のバーを見ると微動だにしなかった、そのバーを見てだった。
まおみは笑顔でだ、マットの上で両手を拳にして叫んだ。
「やったわ!私跳んだわ!」
「ええ、やったじゃない」
「遂に跳んだわね」
「今ね」
「ええ、やったわ」
まおみは友人達のところに駆け寄って彼女達にも話した。
「本当にね」
「遂によね」
「あの高さ跳べたらね」
「本当にね」
「優勝出来るわよ」
「これはね」
「そうよね、大会でも跳ぶわ」
今跳べた、後はそれを確実にしてというのだ。まおみはそれからのことも考えていた。
「この高さをね」
「今のままね」
「それでしっかりとしていきましょう」
「今の感覚忘れないで」
「そうしてね」
「やっていくわ、まぐれかも知れないけれど」
それでもというのだ。
「跳べたわ、後は」
「そう、確実にしていきましょう」
「この高さを跳べるのを」
「それをね」
「そうしていきましょう、じゃあね」
こう話してだ、そしてだった。
まおみは目的の高さを跳べた喜びをそのままにさらに跳び続けた、そして目標としていた大会でだ。
その高さを跳んでだ、優勝した。そしてその時も言った。
「跳べないかもっても思ったけれど」
「跳べたわね」
「やったわね」
「ええ、無理かもって思っても努力していけば」
練習、そして工夫をしていればというのだ。
「出来る様になるのね」
「そういうことね」
「幾ら難しくても」
「その時は無理でも」
「そういうことね」
「それがわかったわ」
実際にというのだ、そしてだった。
まおみは大会が行われた競技場を満面の笑みで友人達と共に後にした、苦しんだ分だけ今は強く喜んでいた。まるでトンネルから抜け出せた時の様に。
もっと高く 完
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