第二章
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「けれどね」
「水滸伝読んでないの」
「だからね」
それでというのだ。
「それは知らなかった」
「そうなの、けれどね」
「中国でもなのね」
「むしろ中国から?」
まりかはこう返した。
「お母さんのお国の」
「まりかちゃんハーフだったわね」
日中のだ、それでまりかはそちらの言葉も喋られるし理解も出来る。略体字もわかる。
「そういえば」
「そうなの、まあそれでね」
「中国がなのね」
友人も応えて言う。
「このお料理にしても」
「お刺身のはじまりだから」
「メニューにあるの」
「あるの、これが」
「それじゃあ作られる?」
「ええ、何なら作るけれど」
まりかは友人に微笑んで話を切り出した。
「どうかしら」
「それじゃあ」
友人も応えて言った。
「今度お魚用意するわね」
「買って来るの」
「買うっていうか釣ってくれる人いるから」
「誰?」
「うちのお父さん」
友人の返事は実に簡潔かつ確かな根拠のあるものだった。
「実は釣りが趣味で」
「それでなの」
「海でも河でも釣ってるわよ」
「じゃあお父さんにお願して」
「お刺身用のお魚釣ってもらってね」
「それを私がお料理する」
「そうしてくれる?」
「ええ、じゃあ」
まりかは笑顔で応えた、こうしてだった。
その中国の刺身を作って友人に食べてもらうことになった、この話が出るとすぐに他のクラスメイト、女の子ばかりが集まってだ。
まりかの作る中国の刺身を食べることになった、問題は魚自体だったが。
まりかは友人達と一緒に呼ばれた最初に話をした友人の家に招かれてだ、彼女の父が釣ったというその鯛を見て言った。
「いい鯛ね」
「そうでしょ」
その友人も笑顔で応えた。
「私も見てびっくりしたわ」
「いい鯛だから」
「大きくて色もよくて」
「活きもよかったのね」
「お父さんが言うにはね、血抜きはもうしてるから」
「じゃあ後は」
「そう、鱗を取ってね」
そしてというのだ。
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