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太陽は、いつか―――

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うが。
自己暗示に近いがどうにか自分を落ち着かせたのち、歩き出す。平日昼間のフードコートだし、そんなに混んでないといいんだけど・・・



=☆=



「本当にこれでよかったの?俺から提案しといてあれだけど、外のお店に入ることもできたし」

購入し終えて席についてから言うのか、と言われそうなことをついつい言ってしまう。がしかし、それも仕方ないと思う。
なんせ、連れてきたのは某M字の超有名ハンバーガーショップ。俺の前におかれているのはチーズなやつのセットで、マルガの前におかれているのは一番デフォルトなハンバーガーのセットだ。実際に並べられたものを見て冷静に考えると、それなりにおかしな状況ではないだろうか?

「いいのよ、これで。これがいいの」

しかし、マルガははっきりとそれを否定する。生前何かあったのか、それとも生前からこうなのか。正直、召喚してから始めてみる憂いを帯びた表情でハンバーガーを手に取った。紙を一部剥がして、出てきたそれにかぶりつく。租借し、嚥下して、口元についたケチャップを舐めとってから、口を開く。

「本当に価値があるものは、お金のかかったものなんかじゃなくて、何でもない、なんてことないものなのよ」

少し寂しそうな笑みを見て。きっと何かあったのだろうと察する。彼女の信条とか、そう言うレベルの何かが。
これがもし、アーサー王だったなら。ジークフリートだったなら。煌びやかな伝承を持つ英雄であったのなら、聞くことにためらいはなかっただろう。自分のことを語りたがる、もしくは俺のことを育てようとしてくれる英霊であったとしても、聞いただろう。
ただ、彼女には聞きづらい。俺は彼女がどんな人生を送ったのか、伝承的にすら知らないし調べてもいないけれど・・・現代に近い、女スパイ。その人生がどれだけ壮絶なものなのかを想像するのは、そう難しくない。

「そっか。じゃあ遠慮なく食べてくれよ。追加購入もいけるから」

だから、俺はそう告げる。彼女がポテトを選んだからという理由で選択したセットのナゲットも届く位置に動かして、自分のものの紙を剥がしてかぶりつく。このチープな味は、無性に食べたくなるような中毒性がある。うん、美味い。

「じゃあ、貴方のも一口くださらない?」
「もちろん、どうぞどうぞ」

チーズのやつを差し出すと、マルガはそれを受け取ってかぶりつく。これも美味しいわねぇといって微笑む彼女につられて俺の楽しくなってきて笑みを浮かべた。

想像はしていた。どれだけ無名の英霊であったとしても、英霊となることが出来る以上それなりの人生を、生涯をおくっているはずなのだ。だからこういう状況が生まれることも想定内だったけれど・・・実際に遭遇すると、それなりに重いものがあった。
しかし、不思議と。後悔して
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