壱
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よ《みたせ》。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」
ふと、何かとつながった感覚があった。目の前にあるものに吸い取られていると感じていた魔力の流れが、こことは違うどこかへと流れていくような。未知の何かに吸い取られているような、そんな感覚が。
「――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うのならば応えよ」
ここまで来たら、もう躊躇うことはない。暴れ回りそうになる魔力を無理矢理に抑え込み、意志をもってねじ伏せる。召喚した後であれば、死なないために従う立場にもなろう。だが、それまでの間はそうではない。俺が上だ。抑え込まれろ。
「誓いを此処に。我は常世全ての善となるもの、我は常世全ての悪を敷く者」
さあ、唱えろ。最後の一言を。平穏をぶち壊し、騒乱に自分を落とし込む呪いを。
「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――ッ!」
倒れず、唱えきった。目を覆いたくなる光が眼前に現れ、一軒家の地下で行ってよかったな、だなんて的外れなことを考えている自分に驚く。そんなことを思っている間にも光は収まっていき・・・ふと、花のような甘い香りが漂ってきた。
「なんだ、これ・・・?」
念のため、キャスターを呼び出していて気が付けば、なんてことがないように礼装を使ってレジストしてみるがこれといって何かあるわけでもなかった。つまり、これは魔術的な何かではなくて相手の性質的な何かなのだろう。・・・まあ、俺なんか比べ物にならないような魔術師って可能性もあるんだけど。
「っと、そうも言ってられないか・・・」
すでに、光も収まってきている。であるのなら、召喚した英霊・・・サーヴァントと話す必要があるだろう。相手が誰なのかを知らなければ、何ともならない。
「サーヴァント、アサシン」
と。そう考えている間にも、向こうは既に名乗りを上げようとしてくれている。アサシン、ということはハサンだろうか。何とも戦いづらいクラスになったものだ。
「マタ・ハリが通り名よ。よろしくね」
が、しかし。その名前はハサンのものではなく・・・俺も知らないものだった。
「・・・えっと、ハサン、じゃなくて?」
「ええ、ハサンではないわね。暗殺者、というようなものでもないし」
アサシンのクラスでありながら、暗殺者ではないという。一気に勝ち目がなくなったような気がした。
アサシンというクラスにあてはめられる英霊であり、その服装は水着かと思うほどに露出が多い。脳を溶かすかのように甘い香りと・・・なにより、男を誘惑するような煽情的な服装だ。であるのなら、出てくる解は一つ・・・
「・・・失礼かもし
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