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問題児たちが異世界から来るそうですよ? 〜無形物を統べるもの〜
日本神話
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もらえると、こちらとしても気が楽です」
と、主の不敬を謝罪した後に、彼女は考え込む。北欧神話の際に自らの妹がした決断、そこから彼女自身も自身の成長を願っている。当然といえば当然のことだろう。
一つ、当然のこととして。彼女自身のスペックは非常に高い。神隠し、という誰もが知っている概念そのものとなった存在。だからこそ、神隠しの力だけでなく神隠しを行うものの力も手に入れることを可能とし、一定範囲、一定時間のみに限定されこそするものの、無敵になることすらできる。だが、それでも。到底、一輝に並び立てるほどのものではない。
肩を並べて戦うなどできるはずもなく、後方からの支援すら不可能。ヤシロや湖札と違い、『極めて高い水準の力』を持っている存在であっても、『常識を鼻で笑う力』は持っていない。
故に、自らの新たな可能性を探る手段をどうするか考えた。神隠し的伝承は様々な神話、民話、伝承で見られる。その中で日本のものは既に天狗を具現しているため、他の神話にするべきかと思っていたのだが・・・
「・・・すいません、一つお聞きしてもいいでしょうか?」
「あん?なんだ?」
「貴方の主観で構いません。『一を突き詰めた結果』と『広くて札を得た結果』、どちらの方が強いと考えますか?」
「そんなもん、前者に決まってんだろ」
即答であった。
「理由をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「別に大した理由があるわけじゃねえし、俺の主観だけどな」
前置きしてから、胡坐をかいて話し始める。
「全能神、って類のやつらは、ぶっちゃけ雑魚だ」
色んなところに怒られそうな発言である。
「より厳密には、『すべて等しくできる』という類の全能神は、ってことになるか。結局のところ、生き物、戦士、って類のやつらは『突き詰めた一』ってもんが必要なんだよ、いざってとき、自分の命を預けられるモンがな」
「全能だと、それがない、と?」
「ああ、ねえな。すべて等しくできる、ってのは『全部等しい価値観』になる。んなもんに価値はねえし、いざってとき反射的に頼れるような技術でもない」
「・・・だったら。一つ、お願いがあります」
ヒルコ。先ほどの一輝の言によれば、元太陽神であり、アマテラスと同等の神。そんな存在からはっきり断言されれば、それは信用するに足る。故に、彼女もまた。
決意と覚悟を持って。凡庸性という強みへ進む道を断ち、自らの行く末を決定する。
「しばらく、こちらでお世話になることはできませんか?」
「ああ、うん。いんじゃね?」
まあヒルコの反応は非常に軽いものだったのだけれど。
こうして、彼女たちは歩み始める。
妖精は、新たな神格のギフトを正しく理解するために。
終末は、滅びの物語を紡ぐために。
魔剣は、己が呪いの原点へ
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