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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
一つの日常 キメラと三頭龍 A
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となおさら説得力がある。なるほどなぁ、と焼きそばをすすりながら感心した。

「でも、うん。やっぱりおかしいよ」
「ほう、おかしいか」
「うん、おかしい。だって、それを成すだけの功績が箱庭には一切記録されていないんだから」
「・・・なるほど、プレイヤーとしての才はあるらしい」

揚げパンを食べながらそう言われたので、この考えがそれなりに正しいものだったのだと実感できた。正直怪しいところ満載の考えだから自信はなかったんだけど。

そもそも、箱庭に招待されるということは何らかの形でその祝福(ギフト)なり功績なりが評価された結果だ。そして、そう言った実績の証明の形は多岐にわたる。

例えば、エジソンやノーベルのような発明品として。
例えば、豊臣秀吉や始皇帝、ナポレオンのような歴史に残る行動によって。
例えば、ヘラクレスやペルセウスのような神話として語られるだけの要素として。
例えば、十六夜や殿下のような世界を救う未来を祝福された形として。
例えば、私や飛鳥のようなギフトの回収の手段として。

それぞれ、箱庭へ招待されるだけの理由はそんなところだ。では、一輝はどうなのか。
ギフトの回収。それは理由として成立するだけのものとして間違いない。“無形物を総べるもの”だって一見そんなにだけど重力を操ったりと外に放置していては危険なものだし、神霊すら封じて自在に扱うことのできる“外道・陰陽術”は言うまでもない。それこそ、目の前にいるアジ=ダカーハレベルですらできてしまっているのだから、本当に規格外すぎる代物だ。

そう言った要素だけで見るのなら問題はないのかもしれない。けれど、一輝は“英雄”の一族なのだ。箱庭に始めてきたときにも黒ウサギが言っていたけれど、そう言った何かしらは『語られている』何かがあって初めて成り立つ。いや、英雄的功績があることと語られている何かしらがあることがイコールである、と言った方が正しいのか。

なんにせよ、そう言ったもののはずなのだ。しかし、何度も言うように一輝はそれに当てはまらない。一輝から聞く世界観に当てはまる何かしらの物語なんて私は知らないし、一輝から聞いた文化レベルの背景や西暦なんかからも私よりも後の時代で生まれるものではない。英雄として一輝が存在することだけは、絶対にありえない。

「もちろん、私が知らないだけでこの箱庭のどこかで記録されているのかもしれないけど、」
「安心していい、それはない。一輝とどうかしたことで私は知ってしまったが、それこそ“ラプラスの魔”であっても知らないだろう」

それは、うん。だとすれば箱庭のどこであっても誰であっても知らないレベルだ。

「そしてこれはサービスだが、私の正体のように今後何らかの形で箱庭から観測される事象ですらない。むしろ、本来一輝に関する
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