趣味レート事件 後編
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のだった。
「・・・ね、何か、臭わない?」
不意にティアナが鼻を引くつかせた。
「そう言えばそうだ。」
「何だこの匂いは、どうも嗅ぎ覚えがあるような。」
「あっちの方からするみたいだけれど。」
「あっちも何もあれはローエングラム公の私邸ではないか。」
「おい!!おい!!おい!!」
不意にビッテンフェルトが叫んだ。
「燃えているぞ!!」
一同見れば、なんとローエングラム公の私邸が一面煙に包まれているではないか。兵士たちが右往左往している中を提督たちは現場に駆け付けた。
「何があったのだ!?」
「ハ、ハッ!!実はWGE48の元ディレクターが邸内に忍び入り、火を放ったのです!!」
『なんだと?!』
提督たちの声が裏返った。WGE48は総大主教と共に地球もろとも忘れ去られたのではなかったか、TV局のビデオテープ資料室の資料と化しているのではなかったか。
「ここの警備はザルだったの?やっぱりファンの自発的警備に任せておいては駄目だってことね。」
「そんなことを言っている場合じゃないでしょう!?」
フィオーナが親友を窘めた。その隣でロイエンタールが、
「消防車はどうした!?」
庭にあった散水用のホースで消火に当たっている兵士らがいるが火の勢いは全く衰えなかった。
「まだ到着していません!そ、それに――。」
「それになんだ!?」
「ローエングラム公がまだあの中に!!一旦こちらに見えられましたが、御姉君がいらっしゃらないと聞かれるや、御姉君をお助けすると申されて――。」
「なんだと!?」
危ない!下がれ下がれ!!という声が聞こえ、提督たちが飛びのくのと同時に太い柱が燃えながら倒れ込んできた。
「・・・・・・・!」
ワーレンは独り炎をにらんでいたが、不意にホースを操っている兵士に駆け寄った。
「貸せ!!」
ホースをひったくるや否や自分に冷たい水を浴びせかける。そして警備兵のヘルメットを奪い取ると、それを身に着けざま炎の中に飛び込んでいった。
「ワーレン!」
「おい、ワーレン!!」
諸提督が叫ぶが、すでに彼の姿は炎の中に消えている。
「おい、ワーレン一人に任せておくわけにはいかん、俺たちも続くぞ。」
ロイエンタールが言い放った時だった。兵士たちの悲鳴が聞こえ、さっと提督たちが振り返ると、バリバリという音とともに玄関が崩れ落ちていくのが分かった。
「駄目だ!もうこの家は持たん!!」
「かといってローエングラム公を御救いしなくては!!ええい、不甲斐ない!!」
そう言いつつも、提督たちの足はすくむばかりで邸内に入ることができない。が、そんな怯懦がかえって提督たちの良心を刺激したらしい。
「ワーレンに続けッ!!」
ミッターマイヤーが号令し、諸提督たちは先を争って突入していった。
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