趣味レート事件 後編
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
シュタインの奴にああいう趣味があったとはな。」
ミッターマイヤーが仏頂面でつぶやく。そのオーベルシュタインは憲兵隊に呼び出されたとかで、憲兵司令部に出向いている。もう一生そこから出ないでくれ、というのは諸提督の心からの願いだった。
「おい、ワーレン。卿の趣味は見つかったのか?」
それに応えようとしたワーレンの手元にウェイターを務める幼年学校の生徒から紙片が手渡された。それを開いたワーレンの表情が固まる。あまりにも固まっているので、たまりかねたロイエンタールがひょいと彼の手から紙片を抜き取った。
「ローエングラム公よりワーレンに直々に呼び出しがかかっているぞ。」
突然の事だったので一同皆驚いたが、心当たりがないわけではなかった。いや、ありすぎると言ってもいいだろう。
卿に話すべきことがある。明朝10:00に私邸に来るように。
という味もそっけもない書簡が彼の下に届いたとき、戦慄したのは言うまでもない。何もかもお見通しだと言わんばかりの簡潔さだったことが余計に彼の心証を恐怖に至らしめたのだ。
「まさか昨日の騒動の事でお叱りを受けるのではないだろうな?」
と、ようやく氷の呪縛から解放されたワーレンが、戦々恐々としながら諸提督の顔を見る。
「あり得ないことではないな。」
と、ロイエンタールが言う。そこを否定してくれないのか、とワーレンはすがるような眼で見たがそれ以上何の反応もないのでがっくりと肩を落とした。
「大丈夫だ、卿一人を見殺しにするわけにはいかん。俺はついていくぞ。ローエングラム公にあって卿の潔白を証明する!」
ミッターマイヤーがワーレンの肩を叩く。
「潔白だと!!??」
とたんに割れる様な大声が飛んできた。ビッテンフェルトがしかめっ面をしてこっちを見ている。
「おい、言っておくがな。この野郎は俺の大事なガ〇ダムをぶっ壊したのだぞ、ミッターマイヤー。それを潔白だと?!俺に言わせれば真っ黒もいいところだ!!」
脇で聞いていたメックリンガーもひそかに同意した。声には出さなかったが。
「すまん、あれは本当にすまなかった、ビッテンフェルト。」
ワーレンが心底申し訳なさそうに謝った。
「おい、ビッテンフェルト。もとはと言えば卿にも問題はあろう。あんな危なっかしいものを街中に立てるとはどういう了見だ。少しは周りを考えろ。それよりもだ、今はワーレンの事を考えよう。ローエングラム公に誠心誠意説明申し上げればきっとわかってくださるだろう。」
ミッターマイヤーのその希望的観測に満ち溢れた物言いに一同内心疑問を浮かべていたが、そうこうするうちにローエングラム元帥府・・・ではなく彼の私邸にたどり着いたのである。なぜ元帥府ではなかったのかと一同いぶかしがったが、きっと内容が内容なので内密に処理されるに違いないと結論付けた
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ