趣味レート事件 後編
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込んだ言葉に数倍するような勢いでワーレンは立ち上がった。
「もちろんだ!!あぁ、持つべきものは僚友たちだ!!ルッツ、卿の好意には礼を述べても述べきれないほどだ!!」
「なに、ほかならぬ卿の頼みだ。僚友として力を貸さなくてはな。」
まんざらでもなさそうなルッツをよそに他の提督たちはひそひそ話をしている。
「どう思うか?」
「う〜ん、何か怪しくない?」
「フロイレイン・ティアナもそう思うか、実は俺もだ。どう思う?アイゼナッハ。」
アイゼナッハは何も言わず、ただ首を横に一振りした。
「何にしても良案が他にはない。行ってみるしかないだろう。それでワーレンの趣味が見つかれば良しとすべきだな。」
ミッターマイヤーがそうまとめたので、諸提督たちもうなずかざるを得なかったのだった。
翌日――。
帝都オーディンの郊外のなだらかな草原の丘陵にあるという「パウルの動く城」に諸提督はやってきた。昨日後始末を片付けたというビッテンフェルトも仏頂面でワーレンに文句を言いつつも列に加わっている。
「おい、あれか?」
丘陵の上に佇む建造物をいち早く見つけたケンプが皆に尋ねた。真っ白い雲を背にした青空の下、それはひっそりとたたずんでいた。
「あれらしいな。」
「しかし何という摩訶不思議な建造物か。」
「まるでそこらじゅうの家を吸い寄せてくっつけたようなものだ。」
「怪しいという言葉をあれほど体現している物はないな。」
ロイエンタールが呈した苦言にすかさず反発した者がいる。
「それがいいんだろうが。」
と、言ったのはルッツである。
「ああいう摩訶不思議なものだからこそ、きっとどのような悩みでも受け入れてくれる包容力があるという物だ。」
どこをどうすればそんな結論が出るのか、諸提督はルッツに聞いてみたい思いだったが、ワーレンの顔を見ると、誰もが口を閉ざした。
「そうだ、俺は行ってみる。今日こそあの場所で俺の趣味を見つけて見せる。」
断固たる決意を秘めて向かっていくワーレンに仕方なしに諸提督たちもぞろぞろとついていく。建造物の真下にやってくると、狭い階段がまっすぐに伸びている。ここを登って行けというのだろう。一同が中に入ると、真っ暗な空間にポツポツとランタンの明かりがともされている。
「なんだか急な階段だな。」
「手すりがあるのがせめてもの救いか。」
「でも、これはどう見ても似ているよなぁ。」
「これ、絶対版権元に言ったら訴えられ――。」
「だから版権は帝国にあるのだと言ってるだろ――ウファァ!!!」
途中から裏声になったルッツがのけぞりそうになった。
「どうしたのですか、ルッツ提督・・・キャァァァッ!!!」
フィオーナもたまらず叫び、たまらず夫にかじりついた。
「どうしたんだい?そんなにしがみついて・・・・ウハァッ!
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