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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第九十四話 ラインハルトを守ります!!(後編)
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包囲される側は後一瞬遅ければ自分になっていただろう。そう思いながらラインハルトは包囲艦隊が残敵をすりつぶすのをじっと見つめていた。
「ウィルヘルミナより通信が入っています!!」
という報告がもたらされたのはその直後である。ラインハルトは周辺の警戒を厳とさせながら、いったんは砲撃の手をとめさせ、通信回線を開いた。藤色の髪をくしゃっとさせた若い貴族がこちらを見ている。
『ラインハルト・フォン・ローエングラム元帥か。』
ラインハルトはうなずいた。
「卿の名を聞こうか。」
『宇宙艦隊司令長官代理、エーバルト・フォン・バイエルン元帥。もっとも、元帥などとは名ばかりのものではあるがな。』
「卿はよく戦った。だが、これ以上の抗戦は無益だろう。大は将兵とその家族の犠牲を増やし、中は貴重なる艦船の損傷を増やし、そして小は卿自身の名を貶めるだけではないか。」
バイエルン候エーバルトが笑ったのが遠目にもはっきり分かった。
『卿らしい発言だ、ラインハルト・フォン・ローエングラム。大概の人間は私の名を先に持ってくるものだが、卿は物事の本質を射ている。その通りだ。』
バイエルン候エーバルトは顔を引き締め、
『だが、断る。武人として二度も恥をさらすことはできない。恥というのは卿に敗北したことではなく、おめおめと幾多の将兵を死なせ、自分だけ生き残ったそのことだ。』
「では卿に問うが、私をどう見る?私とて幾多の将兵を死なせ、なお生き残ってここに立っている。」
『卿は勝者だ。私とは違う。』
「勝者敗者という呼称のみをもって将兵の犠牲の勝ちが決まるというか。そう思っているとするならば卿は救いがたい頑迷で愚かな人間だ!!」
ラインハルトの声にバイエルン候エーバルトが初めて気圧されたような色を浮かべる。
「敗者の座に着けば将兵が無駄死にとなり、勝者の座に着けば将兵の死は意義あるものであったと卿はそう言うのか。そうではないだろう。敗戦であろうと勝ち戦であろうと将兵の死には何らの変わりもない。失った命は二度と戻っては来ぬ。だからこそ、上に立つ者は将兵の犠牲を片時も忘れることなきように努めねばならぬ。たとえ勝者であろうと敗者であろうとその気持ちにはいささかの違いがあってはならぬのだ。」
バイエルン候エーバルトのみならず、ヴァルキュリアの艦橋にいる面々がラインハルトを見ていた。その姿は覇気に満ちあふれていたが、それ以上に自分の信念をこれでもかというように必死に相手に伝えようとしている人間の姿だった。それこそが相手を、すなわちバイエルン候エーバルトとその麾下を救うことにつながると信じている人間の姿だった。
『・・・・・・・・。』
「仮に卿が今ここで死ぬとなれば、卿は幾多の将兵の遺族に対してどう責任を取るつもりだ?おめおめと先に死に、ヴァルハラで先達の
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