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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第九十四話 ラインハルトを守ります!!(後編)
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将が絶句した様子がありありと脳裏に浮かんだ。
『そうよ・・・あなたは守ったのよ、ラインハルトを!!』
その答えにジェニファーは満足した。そうでなくてはならない。この回答がなかったら自分は無駄死にだったのだから。
「総員・・・退艦・・・・許可・・・・。」
別の端末から切れ切れにジェニファーはそう言い、柱にもたれかかった。
『負傷しているの!?そこから脱出できる!?待っていて、すぐに救援を――。』
「無駄よ。もう私は・・・助からない・・・・。」
端末の向こうで一瞬息が止まる音がし、次いでしゃべりだそうとするのを懸命に制した。新たな痛みが湧き上がってきたが構わずに言いたいことを伝える。
「イルーナ・・・ごめんなさい。こんな早々にリタイアして・・・・。でも、お願い・・・。約束して・・・。必ず・・・・ラインハルトを守って・・・宇宙を・・・彼の手で・・・統一・・・・させて・・・!!」
『ジェニファー・・・!!ジェニファー!!応答して!!ジェ――』
「どうせ私は・・・またヴァルハラに戻るだけ・・・一足先に・・・待っているわ・・・・イルー・・・ナ・・・・。」
ジェニファーの血に染まった手から端末が転がり、炎の中に消えていった。旗艦スレイプニルが大爆発を起こしてその姿を宇宙から消したのはそれから2分後だった。


スレイプニルが閃光と共に消失した後も、イルーナ・フォン・ヴァンクラフトは数秒の間微動だにしなかった。誰も彼もが彼女に声をかけることをためらっているようだった。
「全艦隊、全速前進を継続!」
イルーナの口から発せられたとわかるまで3秒を要した。
「一刻も早くこの宙域を離脱に専念しなさい!!」
艦橋をにらみ渡すようにして発せられた彼女の声は張りを失ってはいなかった。内心の衝撃は如何ばかりであっただろうが、彼女はそれを表面に出すことをせず、死線に立つ指揮官として不動の位置を取り続けているのである。
ヴァルキュリアはスレイプニルの身を挺した行動に守られ、残り少ない護衛と共に宙域のはずれまで到達した。バイエルン候エーバルトが激しい攻勢を依然として続けなければもうまもなく脱出できるだろう。だが、運命の女神はあまりにも残酷であるという感想を次の瞬間誰もが抱いた。
「前方11時の方向より艦影急速接近!!数1万!!」
という絶望的な報告がもたらされたからである。バイエルン候エーバルトの分派した別働部隊が到達したらしい。これまでか、とイルーナは内心思った。ジェニファーの身を挺した行動も無駄になってしまったらしい。
(ごめんなさい。ジェニファー。後でヴァルハラで謝らなくてはならないわね・・・・。)
それでも、最後の最後までラインハルトを守るべく彼女は傍らに立とうと決めていた。ラインハルトが部下たちを残してここを脱出することなど一顧だにしないこ
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