彼のお仕事
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している。小川を流れていく葉もまた美しい。向こうに見えるのは、枯山水だろうか。一般家庭とは思えない程本格的だ。いや、ここは、会社か。それにしても凄い。
「ええところやろ」
「うん…会社の庭だとしても、ここまで綺麗なのは珍しいね…。ひょっとして、造園業者とか?」
ふと頭に浮かんだことを口にしてみるも、紫翔は首を横に振る。
「えぇ、じゃあ一体何の会社なの…」
「それは、中に入ってのお楽しみ、や」
くすくすと悪戯っぽく笑い、彼は小路を進んでいく。とにかく、付いていってみるしか無さそうだ。
やがて、玄関が見えてきた。表札は…無し。ここでも紫翔は躊躇なく扉を開け、中に入る。…この会社のセキュリティは大丈夫なのだろうか。
「梦見はん」
こいこい、と手招かれ、玄関の中へと足を踏み入れる。
「お邪魔します…。…えっ!?」
入った瞬間、素っ頓狂な声が出てしまう。なぜなら、そこには外観とはあまりにミスマッチな―真っ白い、まるで研究所のような施設があったからだ。
「こ、ここって…」
「おっ、やっと来たか、紫翔の彼女!」
「へっ?」
どこからか声がしたと思ったら、上から何かが降ってきて、梦見たちの目の前に着地した。梦見がそれを白髪の男性だと認識するのに、数秒を費やしなければならなかった。天気:人なんていうものがあるのか…お外怖い、と一人青ざめていると、隣の紫翔に「梦見はんが何を考えてるかは分からへんけども、それは違うと思うで?」と言われてしまった。
「あと社長はんも違います、自分は梦見はんの保護者やし」
「そうなのか?でも確かに見えたぜ?」
「今その格好やからやないの」
「こっちの方が目は良いんだがなあ」
「あ、あの!」
梦見が声を上げると、二人揃ってこちらを向いた。
白髪の男性をしっかり認識して、自分の記憶と結び付けるのにそう時間はかからなかった。髪こそ結び、前髪を下ろしてはいるが、海松色の浴衣といい、金地の帯といい、何よりその雰囲気といい―いつかネットで目にしたままだ。
「あの…貴方は、"灯(ともしび)"の社長さん、ですか…?」
暫くの沈黙。やがて、白髪の男性がゆっくりと口を開いた。
「どこで、知ったんだ?」
それが肯定だった。
政府にも朝廷にも反乱軍にも属さず、依頼があればどの組織への協力もする…。そんな組織があり、名前は灯というらしい、という噂がネットで流れていた。ご丁寧に写真付きで。
まさか、実在するとは。そして、紫翔がその一員だったとは。
梦見があまりの衝撃で固まっていると、肩にぽん、と手を置かれた。
「今まで内緒にしとって、悪かったわぁ。驚いたやろ?」
素直にこくこくと頷くと、社長がけらけら笑う。…なんというか、イメージが違う。もっと怖い人だとネットでは噂されていたが…。
「いやぁ、すまんすまん。ここのこ
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