第4章:日常と非日常
第117話「■■の尖兵・前」
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「ちっ、少し遅れちまったか…」
八束神社までの道のりの中、帝は時間を確認して小さく舌打ちする。
「またあの野郎がイラつく事言ってきやがるじゃねぇか」
帝は優輝と戦闘の特訓をしており、その集合時間に遅れていた。
既に一年以上続けているため、彼も相応に強くなっていた。
〈…その割には、面倒臭がらずここまで続けてきましたね〉
「うるせぇ!あいつの言う通りにしてるんじゃねぇよ。俺は……だぁもう!」
〈無理して口に出さなくていいんですよ?〉
「うるせぇ!!てめぇまでからかうんじゃねぇ!」
彼のデバイスであるエアにもからかわれる。
だが、実際彼の胸中を占める感情は、決して嫌だというものではなかった。
「(言える訳ねぇだろ…!ハーレム目指してたら一目惚れして、今はあの子に認められるよう頑張ってるなんて、そんな恥ずかしい事…!)」
〈…………ふふ…〉
「…なんだよ」
〈いえ、ここ一年で、マスターもいい顔をするようになったと思いまして〉
元々は、典型的な踏み台転生者のような性格だった帝。
だが、度重なる“原作”とは乖離した激しい戦いと、優輝の影響、そして文字通りの一目惚れをした事でそれは少しずつ変わっていたのだ。
「……けっ!」
不貞腐れながらも、帝はどこか満更でもなさそうだった。
「とりあえず、とっとと―――」
〈っ…マスター!!気を付けてください!何か、何か得体の知れないモノが…!〉
…その時、帝が近道のために通っていた林に、何かが現れた。
「な、なんだ…!?」
〈魔力…いえ、魔力に似せた、“領域外”の力…!?っ…不明、エラー…判別、不可能…!?このエネルギーは、一体…!?〉
黒い靄のようなものが、力が漏れ出るかのように帝の近くに降りてくる。
…次の瞬間…。
―――ドンッ!!!
「っ……!?」
謎の結界が張られると同時に、威圧感と共にその“存在”はそこに現れた。
そして、その威圧感だけで、帝は無意識に膝を付きかけていた。
「て、めぇ……!?一体……!?」
「………ふん」
現れた存在。それは、普段よりも“黒い”印象なものの…。
〈…“中身”は全くの別物…しかし、優輝様に似ている…?〉
…優輝に、瓜二つだった。
「…くはっ、降り立った矢先に出会うのが、雑魚とはな」
優輝に似た男は、帝を見るなり見下すように嗤う。
「てめぇ…!見た目も相まって、単純にムカつく野郎だな……!」
「事実を言って何が悪い?…尤も、俺にと
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