第十四話 森を進みその八
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「どれもあまりお勧め出来ないぜ」
「狼か」
「食ったことないだろ」
「ああ、ない」
「私もです」
久志も順一もこう智に答えた。
「狼の肉はまだ」
「一度もないな」
「正直あまりお勧め出来ないぜ」
智はその狼肉の話もした。
「味は多分犬肉の味なんだろうな」
「多分か」
「犬食ったことはないからな」
智にその経験はない、犬肉を口に出来る場所も日本にはあるにはあるがだ。
「そうとしか言えないな」
「犬肉な」
「ああ、それでも犬は狼からなっただろ」
「狼を家畜化したのが犬だからな」
この辺りは猪と豚の関係と同じである。
「まあ味はな」
「そうなるよな」
「そうだな、しかしな」
「匂いはか」
「相当に強いな」
「肉食ってるせいか?」
「肉食獣の肉は臭いぜ」
匂い、それがだ。
「だから言うんだよ」
「狐とかもか」
「鳥はいいけれどな」
「兎とどっちが上だよ」
「同じ位か。鶉も鳩も白鳥も美味いぜ」
こうした鳥達は全てというのだ。
「だから燻製や干し肉にしてもいいんだよ」
「鳥はか」
「俺の弓矢だったら確実に射抜けるしな」
「百発百中か」
「そうさ」
まさにとだ、智は自分の弓の腕には絶対の自信を見せてにやりと笑ってみせた。
「今まで外したことはないぜ」
「そこまでか」
「いいのは弓矢だけじゃないんだよ」
「腕もか」
「そっちもさ」
「アポロンみたいにな」
その百発百中の弓の腕の持ち主である。
「俺の弓矢の腕は凄いぜ」
「だからさっきも熊を一撃で倒せたんだな」
「そうさ、ドラゴンだってな」
目指すこのモンスターもというのだ。
「弱点をな」
「射抜けるんだな」
「そうしてみせるぜ、しかもな」
智はにやりと笑って久志に言った。
「アポロンの弓矢だぜ」
「一撃でか」
「何だって倒せるからな」
「そこまで強いんだな」
「しかも矢は尽きないときた」
「凄い武器だな」
「狩人の武器としては最高のものだぜ」
こうまで言うのだった。
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