ウィザード・トーナメント編 前編
重役は澄ました顔で
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しいのが、俺もそんな経験をしていない。ただ、そういう知識だけはあるから試している。
俺は目尻に涙を溜める彼女を見て主導権を獲得したことを確信した。もうここからは俺のペースだ。彼女も変に抵抗してこない。
「まだ無茶苦茶にされたいか?」
「.............っ!」
俺は彼女の耳元で特別声のトーンを低くして、ボソッと呟いた。彼女は寒気が走ったかのようにピクリと身震いした。そして俺は目を瞑ったままの彼女から離れると、普段の声に戻ってもう一度きっぱりとお誘いを断った。
「そんじゃ、誘ってくれたのは嬉しいが断らせてもらうよ。どうせなら次回からは紅茶に入れる睡眠薬は無臭の強力なのを使うことだな。」
俺は何事もなかったかのように彼女の城を出た。どうやら俺が帰ったあとも彼女はしばらくの間ずっと顔を真っ赤にしていたそうだ。少しばかり刺激が強過ぎたのかと俺はほんのちょっぴり反省した。
それから俺はソレイユに所属する奴らから妙な視線を送られるようになった。何でも「ヘッドを堕とした奴」として警戒されているらしい。尋常じゃなく迷惑だ。
だがその視線以上に面倒なのが当の本人であるエリナだ。公の場なら建前として態度を崩さないでいるが、プライベートな環境で遭遇する場合は「ご主人様」と呼んでくるようになった。さながら彼女は奴隷と言った所だろう。
「ねぇアンタ。」
「なんだ紗友里。」
「エリナさんに何をしたの?最近明らかにアンタに対する態度が豹変してきてるんですけど。」
「知らねーよ。本人に聞け。」
(ホントにヘッドならちゃんとして欲しいもんだ。)
ちょっとした出来心で面倒くさいやつに面倒くさい形でなつかれてしまったことを心から後悔する俺だった。
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