来店
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を理解しているように、ショウキもリズのことは理解しているだろう。こうなってしまえば、言っても聞きやしない――と、不承不承ながら諦めたようなショウキの了承に、リズは気分よくショウキの肩を叩いた。するとショウキのため息とともに、武具店の入口から声をかけられる。
「……シノン」
「話は外から聞いてたわ。悪いけど、死銃事件なら私も関わらせてもらうから」
こちらと違って是非も言わせぬ口調にリズが苦笑している間に、買ってきてもらっていた研磨剤のトレード申請がショウキの目の前に浮かぶ。もはや何か言う言葉も失ったショウキがその申請を操作すると、研磨剤の代わりにメンテナンス明けの弓矢がシノンの手にもたらされる。
「……いい出来ね」
「それはどうも……シノンは、アイツに関して何が知ってることはあるのか?」
手早く自分の弓矢の状態を確認すると、メンテナンスの出来に満足したらしいシノンが呟くのを聞きながら、ショウキもまた立ち上がる。自身の日本刀《銀ノ月》はリズのメイスと同じくストレージにしまってあるのか、一見すると空手のようであったが、その雰囲気は今にも戦いに赴きそうなもので。
「知ってるかしら。……例の外部ツールのこと」
「ええ、グウェンから聞いたけど……デジタルドラッグって奴よね?」
珍しく歯切れの悪いシノンから語られたのは、リーベの話ではなく。先日、グウェンから聞いた、最近になってVR世界にて流行っているという外部ツール。その通称は『デジタルドラッグ』と、リズ当人は聞いただけとはいえあまり聞こえのよいものではない。
「伝達速度や反応速度を上げるとともに、使用者に軽度な中毒作用……まさに麻薬ね」
「そのデジタルドラッグがどうしたんだ?」
「《GGO》の方でも随分と流行ってたんだけど……流通させてるのが、アイツだって噂でね」
「っ……!」
アイツ、が誰を指しているのかは明白だった。海外サーバーであるらしい《GGO》でそのような外部ツールが流行するのは分かりやすく、そのためもあってシノンは《GGO》からこちらに戻ってきたのだろう。この《ALO》ではまだ噂程度の広がり方でしかないが、『密売人』が本当にリーベであるならば、彼女が何かしら策を弄して来る可能性はあるだろう。
「そんなものに頼って強くなった気になる奴らの気が知れないわ……それはともかく、本当に『密売人』がアイツなら、むしろチャンスかもしれないわね」
「チャンス?」
「だって不正なツールの密売人よ? スクショ撮って運営に報告すれば、アカウント削除間違いなしじゃない」
「なるほど……」
心の底からデジタルドラッグとその使用者を侮蔑しているのか、吐き捨てるような口調と態度のシノンだったが、その提案は理にかなっ
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