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SAO−銀ノ月−
来店
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た。こんなことも見据えて、メンテナンスに必要な研磨剤は大量に仕入れていたはずだが、予想以上にお客様の数が多かったか。さらにシノンが買い出しに行ってくれたために、お客様への対応は店員NPCを除けばリズのみともなってしまって。

「……ナイスな展開じゃない」

 ……お客様に聞こえないぐらいに小さく言ってみたものの、その言葉で状況が好転する訳もなく、リズが少しだけ気恥ずかしくなるのみに終わる。気を取り直すべく、小さく自らの頬を叩いたリズは、目の前のお客様に向き直った。

「いらっしゃませー!」

「初心者なんですけど、どんなビルドにすればいいですかね?」

「えっと……使いたい武器があるなら、その武器に合わせたりなどいかがですか?」

 ――あたしが知るか! と反射的に返しそうになったものの、何とか喉元でその言葉を押し止めて、代わる言葉を優しく語りかける。しかし明らかに初心者らしい装備をしたそのプレイヤーは、あまり納得の行く答えではなかったのか、不承不承といった様子で店外に出ていった。

「メンテナンスの方ー!」

 しかも冷やかしかい! と内心でツッコミを入れていると、またもや工房から声が響いていく。今度は明るくしようとする努力は認めるものの、どこか疲れた雰囲気を感じさせる男性の声。そちらを振り向いてみれば、ショウキがメンテナンスを終わった武器を店員NPCに渡しつつ、何やらジェスチャー付きでまたもや工房の方に戻っていく。メンテナンスの仕事はアレで終わりだったはずだが、恐らくは更なる仕事が舞い込んで来てもいいように、残りの研磨剤を家捜ししてでもかき集めるつもりだろう。

「こちらの武器はですね!」

 それはあちらに任せて、リズは自分の仕事を全うする。もうすぐイグドラシル・シティ中央で、復帰勢向けのイベントが始まるため、そろそろお客様の流れも引くだろうという思いを込めて。片手間に売れ行き商品の流れを見てみれば、やはり片手剣や大剣辺りは安定の人気商品だったが、予想外なことにわりとクナイがはけていることに驚きつつも。

「すいませ〜ん! 探してる商品があるんだけど!」

「はい! どのような商品でしょうか?」

 キャピキャピした、という表現が正しいというか。やたらと高音な、声の調整を間違えたプーカにしか出せないその声に、多少なりとも顔をしかめながらつつ。もちろん無視する訳にもいかず、リズは恭しくそのプーカのお客様に訪ね返した。すると声から感じたイメージに反して、お客様もペコリと礼を返して――

「ショウキくんをね、ウチに下さい!」

 ――そう、笑顔で言ってのけてきた。

「……は?」

「あれ? ごめん、聞こえなかった? ショウキくんをね、ウチに下さいって」

 お客様に対してどころか、今ま
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