第7章 聖戦
第173話 古き友
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が仰向けに吹っ飛ばされるような格好で五メートルほど後ろに滑って行き……。
口の中を切ったのか、ペッと赤い唾液を吐き出しながら立ち上がるチンチクリン。但し、奴の身体に、その他に目立った傷を見つける事は出来ない。
そして、
「流石にヤルじゃねぇか」
確かに、大抵の物語に於いて主人公って奴は、一度は絶体絶命のピンチに陥るモンだ。
だがな――
「だがな、俺の身体に赤い血が流れ続けている限り、絶対に諦める訳には行かないんだよ!」
何やら一人で熱血漫画の主人公になったかのような台詞を口にしているのだが……。ただそれも、今現在の奴の姿形があまりにもアレ過ぎて、第三者の立場から見ると単なるギャグのようにしか感じないのだが。
非常に醒めきった思考で、目の前に展開しているギャグキャラ対ギャグキャラの無制限一本勝負を見つめ続ける俺。
ただ、このままでは埒が明かないのも事実。
ならば――
「あ〜、えっと……盛り上がって居るトコロ、悪いんやけどな」
既にロープ際にまで追い詰められながらも、未だファイティングポーズを取り続けている……いや、現状はむしろ徳俵に足が掛かった状態で必死に堪えている力士状態と言った方が相応しいか。その土俵際のチンチクリンに対して話し掛ける俺。
そう、実際のトコロ、俺としてはこんなマヌケな空間を共有したくないのだが。ただ、目の前に二人のギャグキャラが居て、俺たちはその先に向けて進まなければならない。ならば、妙に盛り上がっている馬鹿に対して現実を教えてやるのが一番だと判断した訳なのだが。
「今のオマエでは例え百年間、ずっと所謂アンプ技能を使い続けたとしても、その謎のふんどし漢を倒す事は不可能やと俺は思うぞ」
そもそも勝てない理由は能力値云々以前の問題だからな。一応、ある程度の親切心込みで話してやる俺。
しかし、と言うか、それとも――
「何を訳の分からない事を言って居る? 今夜の俺は絶好調で誰にも負ける気がしないんだぜ」
――当然と言うべきか。半分ぐらいは予想出来ていたけんもほろろの対応。まぁ、妙に盛り上がっている。何故か物語の主人公気分が盛り上がっている奴に、暗に自分を見つめ直してみろ、と言っても通用しないのは道理か。
ただ……。
ただ、流石にここまで鈍感だと素直に凄いとしか言い様がないのだが。
軽く肩を竦めるようにして、全身でやれやれ……と言う気分を表現する俺。
「タバサたちが何故、未だに瞳を閉じ、耳を塞いでいるのか理由を知りたくはないか?」
まぁ、オマエさんは元々の姿がアレだった上に、ハリセンの一撃で吹っ飛ばされて壁を破壊。その後に瓦礫の山に埋まった可能性が高いので、それまで着ていた服がど
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