暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第173話 古き友
[6/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
き分けながら現われるデカい顔。流石にヤシの木の形に纏められた妙な丁髷(ちょんまげ)は崩れてザンバラ髪と成っては居たが、奇跡的にほぼ無傷の身体……少々無様ではあるが、それでも無傷の身体が暗闇から現われる。
 ……と言うか、

「あのハリセンの攻撃でも無傷って、オマエ、本当に人間か?」

 ハルケギニアに召喚されてから、敵からは何度か言われた記憶はあるのだが、自身が口にした事のない問い掛けを行う俺。
 そもそも光速に匹敵するかのような。最低でも音速の壁は易々と破ったハリセンの一撃を受けても無傷で終わる人間などいない。おそらく俺でも、何の術式も行使していなければ、奴が振るったハリセンの一撃を受けたその瞬間に人生が終了していた事は間違いないでしょう。
 俺の問い掛けに対してニヒル(いじけたアヒルのよう)な笑みを口元に浮かべながら、

「大抵の物語の主人公って奴は絶対に死なない事に成っているモンだ――」

 さっきから原作だの、物語の主人公だの、などと言う、頭のネジが緩んだ挙句に二、三本何処か遠くに跳んで無くなって終ったんじゃないかと言う台詞を口に仕掛けるチンチクリン。
 それとも何か、此奴は転生した事自体が夢か何か。死んだ後に現われたと言う神も、目の前の現れた俺、それどころか二度目の人生に当たる今の生命もすべて、自分の頭の中でのみ展開している夢のような物だと認識しているとでも言うのか。

 確かに夢ならば自分の思い通りに展開させる事も不可能ではない……とも思うのだが。

 非常にくだらない疑問。一瞬、その疑問を頭の中でのみ検証し掛けたその刹那、妙に乾いた音……厚手の紙によって発せられるある意味、小気味よい音が響いた。

「オマエ、普段とキャラが違い過ぎるぞ」

 流石に今回は全力全壊の一撃などではない通常のハリセンの一撃。百八十を超える長身が大上段に振りかぶった状態から繰り出された一撃とは言え、派手な音の割に破壊力はあまりない。……多分。
 そして返す刀で再び小気味良い音色が響く。

「オマエのキャラなら、でも大丈夫。死なないと思えば死なないんですよボォ〜。……と言うのが正しいオマエの台詞じゃボケ!」

 いちいちハリセンでツッコミを入れながら、ただ表面上だけを聞いたのなら絶対に意味の分からない台詞を続ける謎のふんどし漢。
 但し、今の俺にはその台詞が正しい事が何故か分かった。……本心から言うと理解したくはなかったのだが。もっとも、怪しげな中国人風の台詞。所謂、ワタシ、チンチクリン。中○は○島の産まれアルね。的な台詞でも限定的に可のような気もするのだが。

 脳天からのハリセンの一撃の後、顔面への正統派の一撃。この二段攻撃に後ろに向けて吹っ飛ぶチンチクリン。そのまま妙に無様な格好……車にはね跳ばされたカエル
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ